現代社会の中で暮らしている人々のちょっとした思考やとりとめのない妄想、いつかの想い出を描いた作品集です。主人公は周りから注目されるでもないアルバイトの青年や大学生、自分に葛藤するバックダンサーなど様々ですが、そういった彼らの人生の中で訪れるふとした瞬間を文学的に表現しています。どこにでもいる目立たないちっぽけな人間に寄り添う優しい視点とドラマ性が描かれていて、読んでいると「自分もこういうことを考えてしまうな」「こういう葛藤は誰しも抱えているんだろうな」と共感できるものがありました。