弾丸里帰り 4
独立国家富山王国には、ある程度有名なラーメンがある。
それが、白えびラーメンと、富山ブラックラーメン。
白えびラーメンは、富山湾の海の宝石「白えび」を使った上品なラーメンとして有名です。
富山でしか捕れないと噂の白えび。漁獲量も第一位なのもごもっともです。
富山と言えば、ホタルイカと白えび。そして寒ブリで有名ですが、ホタルイカは漁獲一位は兵庫県だったりするので、白えびは富山の誇れる海の幸ですね。
ちなみに、白えび。漁獲された際は白ではなく、ほんのりピンク色で、そこから時間が経つにつれて白くなっていくそうです。どこで使うか分からない豆知識ですね。
そして富山ブラックラーメン。
これはある日、B級グルメだったかで人気になったラーメンですが、私は富山でブラックラーメンと呼ばれる前から普通に食べていたので、それがラーメンとして当たり前だと思っていました。こっちくるとやっぱり違いますね。
あの醤油ベースからの醤油ベース。
富山に来たら本場の富山ブラックを味わい後悔してください。
地方の方が食べると、ハグキがしびれるそうですよ(笑
富山人でさえご飯をチェイサーにしないと厳しいといいうお勧めのラーメン屋は、大喜。ここの本店から暖簾分けした(?)根塚店だったか二口店だったかがお勧めです。本店はあんまり知りません。
それか、富山駅から遠いですが、五右衛門という、すっごいど田舎にぽつんと大通りから離れたところにあるラーメン屋をお勧めします。
後、関係ないですけど、まるたかやというラーメン屋の串はお勧めです。(ラーメンですらなくなった……)
そんな富山のラーメン。
他にも実は、
入善ブラウンラーメン
高岡グリーンラーメン
おやべホワイトラーメン
といったカラーラーメンがあるそうですが、私は知りません。
だって私は、生粋の富山ブラックラーメンで生きてきた人だから。
それ以外、ラーメンとは認めないのだよ。
……ごめんなさい。
どんなラーメンも大好きです。たぶん。
さて。そんな私に衝撃を与えたラーメン。
「ご……ゴールド……」
その名も、ゴールドラーメン。
最初は金粉とか入っているんじゃないかと、「オラわくわくすっぞ!」と思っていたものの、よぉくメニューをみてみるも、金粉が入っているようには見えない。
どこがゴールドなのかと思って見てみる。
なるほど、スープか。
魚介ベースのスープだと思う。富山だからこそ、エビを使ったエビの香ばしい匂いが漂ってくる。
……いや、漂って……きているか……?
えび味噌という希少な味噌を使っているらしい。それであれば香ってくるはず。
だがしかし、スープが金色の光を発しているのだけはわかる。
なるほど、だからこそのゴールドラーメン。
頼んだ妻のティモシーと息子のセバスはいざ実食。
え、お前が頼んだんじゃないんかい?って?
ええ、私はブラックラーメンですよ?
ちなみに娘のチェジュンは塩ラーメン。
「……」
「……」
ティモシーもセバスも、無言。
セバスはすっと無言のまま、ラーメンの中にあったメンマを私のラーメンの中へと投入していく。味とかじゃなく、普通にメンマが食わず嫌いなセバスのやりそうな行動だ。
ティモシーはゆっくりともう一口スープを口に含むと、「?」と何かを確かめるようにもう一度。
「とんこつ……?」
呟くティモシー。
魚介だろうから違わないか?
くいっとレンゲを渡してくるティモシーに疑問を感じながら一口。
「……とんこつ?」
思わず同じ感想を告げてしまう。
だけども何かが違う。
なんだこれ、あえて言うならすっごい薄い。スープにパンチが何一つない。だけどもゴールドの見た目から、何かあるのではないかという期待を裏切ってくるこの味。
なんだ、何が今起きているんだ?
麺。そうか、麺?
ずるるっと吸ってみるが、その麺もサービスエリアによくある、ちょっと茹ですぎたかなくらいのにちゃっと感が少しだけある麺。
「……」
思わず、私とチェジュンが、二人にラーメンを差し出す。
その後は、誰もが無言で食べ――いや、一度だけ。
「あ、安定のます寿司」
救いの声である。
……
…………
……………………
さあ、我が実家へと向かおうではないかっ!
後で知ったことですが、これが食べられるのは富山県滑川市の北陸自動車道の有磯海サービスエリア(上り)のみで食べられることを知りました。
高速で出会ったラーメンだったので高速道路を走らせてそのサービスエリアにつかなければ食べられないのかと思いましたが、そもそも下道からも入れるらしいです。うほっ、すげぇぜ富山。
なお、有磯海のサービスエリアは上りと下りがありまして、上りだけで食べられるそうです。
なんて貴重なラーメン。
是非富山王国に立ち寄るときに有磯海に行くことがあれば、どうぞご堪能ください。
なお、とんこつでも醤油でも、塩でも味噌でもありません。
白湯ベース
らしいです。
次回予告!
ついに辿り着いた我が家。
今にして思えば平屋のでっけぇ家だなぁとか思いつつ相変わらずの見慣れた家かと思いきや、家は変わらないけど周りの低層団地が軒並みなくなっている!?
どこいった!?
なんだって? 取り壊した!? 誰が? 生前の猛将さまかっ!? あ、違う? ええ、市営だから市がやったんですね……。
老人ばっか住んでる安いところだったから、いなくなったら追加募集もせずにどんどん潰していくのね。
かなり老朽化の進んだアパート群。
一週間に何人かは徘徊老人が行方不明になって捜索願いのでる老人大国富山王国!
実家の前の低層団地は、全部潰して作り直す計画がゆるりと始動中。
多分全部潰したら、ねずみの王国なみに広いかもしれない。
いつかできるテーマパークを夢見つつ。でも私はそのころ生きていないことは間違いない!
だって計画頓挫してるものっ!
限界集落の波は市にも。
過疎化はゆっくりと、私の実家にも、迫ってきていた……――
次回!
久しぶりに会った姉の娘に言われた一言。
「どっちがおじちゃんか分からない」
待って、その比較対象かなり年上の私の実兄……っ
まだ。まだ、私の頭皮は、勝っている……っ!
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