弾丸里帰り 3
※前回のお話で数字のマジックがあることに気づけた方は素晴らしいです。
さて。朝の三時に眠い眠いと言いながら起きてきた子どもたちは、車に乗ったらすぐさまおやすみ。
はじめての長距離(一度数時間のドライブはしているものの、流石に富山ほどの距離は初)なので、カーナビでしっかり案内されるかも心配なので妻のボナンザは眠いながらもしっかり助手席で道案内の準備。
今まではカーナビがなかったので助手席でいつもナビをしていたのがボナンザである。
スマホの電池と戦いながら、スマホの地図をずっと見続けると言う苦行から解放されたはずなのに、助手席でスマホで地図を見ようとするボナンザ。
「おい、こっちであってるよな」
「カーナビを見て」
「いや、ほら。このカーナビが指してるとこが、奥の道なのか手前の道なのかが」
「カーナビ音痴かっ!」
「違う。空間把握能力がないだけだ」
「それはそれで運転していいの!?」
というやり取りをしながら、まだ暗い一般道の夜道を進んでいく。
案内されている場所がいつもの道と違っている。初めての道を進んでいるわけだけども、なぜここを案内されているのかと驚きのあまりボナンザに伝えると、カーナビを見て驚愕。
このカーナビ、まさかの、最短のルートの案内だとっ!?
※一つ前の学校見学のお話し群は、これより後のお話なので、その前から、カーナビでも苦労していたというお話です。
人間カーナビであるボナンザが、必死に最短ルートではないいつもの行きやすいルート選択をしていたら辿り着かなかった謎の道。
その道をカーナビが案内していることに、ボナンザと共に焦る。
だけどももう進むしかない。
一度コンビニの駐車場に止まって必要なもの――パパ上の眠気覚ましの鮭とばや、するめ、ビーフジャーキー、みんなの朝食代わりのおにぎりだったり――を購入し、カーナビでもう一度ルートを確認。
もうすぐ高速インターだけども、乗ったことのないインターから乗ることになるので、最新の注意を払っていこうと、ボナンザと共に眠気の覚めた目で前を見据える。
やっとのことで高速インターへと乗ると、一気に車のアクセルを踏む。
周りは乗用車はほとんどいない。いるのは大体大型トラックか夜行バス。
いつも以上に少ない交通量に、私の心は弾んでいく。
なぜかって? 交通量の少ない高速道路をいい感じの安定した早いスピードで進むのは、とても気持ちがいいのである。
走り屋じゃないけど走り屋の気分がわかるというものよ。
「うう。眠い。寝る……」
しばらく高速道路を走っていると、ここで朝ご飯を食べたことで眠くなってきたボナンザがダウン。
大丈夫。カーナビがなくてもこの道はまっすぐ。直線しかないのだから安心しろと伝え、とんっと首元に手刀を落として就寝させる。
すでに子供たちは後部座席で広々と自分たちの領域を有意義に使って就寝中だ。
起きているのは私だけ。
静かに車の音とアニソンだけが響く。あまりの興奮にトロイメライ(ライセンスのまとめを読まれた方ならうっすら覚えてるかもですが、どこぞのお話に個人的によく合うと思った曲です)が流れたときにゃあ大熱唱を脳内で。叫んだら、みんな起きるからね。
眠くなれば鮭とばを口に含み。ちらりと高速道路の壁の隙間から見える景色を見ると、まもなく山道へ突入。すでに都内のジャンクションも超え、富山までは一本のルート。正しくは常磐道と関越道があるので二本ルートはあるけども、今回は常磐道を選択。くねくね山道が楽しいけど一車線だったりすることがあって結構恐ろしいルートだったりする。(工事をしてて少しずつ改善中です)
以前の軽自動車とは違い、ちょっとアクセルを踏むだけでスピードが出る普通自動車。坂道でもそこまで減速され――いや、結構踏まないと前進まないな。だけどもそこはくいっ、くいっとアクセルの踏み心地を調整して安定のスピードのまま登り切る。さすがに軽自動車でこれはできない。
普通自動車の素晴らしさに感動はそれだけではない。軽自動車は、動いていないとエアコンの効きが悪い。普通自動車はそんなことが滅多に起きない、夏なので常に冷たい風が出てくる。おかげで後部座席も快適な温度だ。
朝日が昇ってきて少しずつ明るくなっていく。ある程度明るくなって交通量も多くなってきた。
だけどもいつもの首都圏の渋滞はすっかり抜けきった。
後は富山へ突き進むだけ。
さあ、ルーミーこと白龍さんよ。
共に登って行こうじゃないかっ!
「起きろ……眠い……」
高速道路を走って明るくなった頃。
もう富山王国まで半分過ぎた頃。
きぃっと、車が、サービスエリアに停まった。
もう私の体は若くないのだ。そんなに長時間起きていられないのだ。
ぐっすり眠りについていたボナンザと交代して一時間の仮眠。
起きたらもう北陸自動車道。え、なんだか早くない?とか心の中で思いつつ、後もう少しで富山王国というところにまで迫っていたのには驚いた。
更に驚いたのは、
「私、老眼鏡で運転してて前が全く見えない」
……起こせよ。
途中のパーキングで交代したら最後の締めくくり。
ついに富山王国へと向かう、二十六本のトンネルへと入る。
ここを抜ければ富山。いや、トンネルの途中で新潟から富山に入るので、もう富山である。
そこで、私とボナンザは気づく。
「……おかしい」
「うん、おかしい」
「このままだと、十二時にはついてしまう」
お通夜は十五時。手伝いはいらないと言われたからこそ、十四時にはついていればいいのだ。
朝早くに出たら、こんなにも快適に高速道路を楽しむことができるとは思ってもいなかった私達は、時間配分を思いっきり間違えていたことに気づく。
いや、そもそも、朝三時にでて、休まずに八時間走ったら十一時には着く計算だし、休憩合計二時間とっても十三時には着いている。
なにを思って私達はそんな早くに起きて向かっているのかと。
あちらも急な葬式準備で疲れているだろうし、そんな中、富山王国という都会に、千葉という都会からいきなり来た親戚を構っていられるほどの余力もないと思ったからこそ、当日ぎりぎりに着こうと言う話だったのに、とんでも早くに着きそうである。
「仕方がない」
そうして私たちは、途中のPAで時間をつぶすことにした。
そこで出会ったのが
「な、なんだこの黄金色に輝くラーメンは……」
ブラックラーメンではない。
富山の新たな風。
ゴールドラーメンに、出会ったのだ。
次回予告!
金色に光り輝くラーメン、その名もゴールドラーメン!
見たこともないそのラーメンに、パパ上家は飛びつく。
食券を購入し、いざ、ブラックラーメンっ!(?
次回!
家へと帰る!
きっと私はそこまでの話は、書かないのであろう……(ぇ
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