愛しさと切なさとほどよい心強さと(お絵描き:和響さん)
「……ど、どういうこと、だ……っ!?」
私は、その日、裏切りを受けた。
今日はとにかく朝から不機嫌斜めな私である。
それこそ、朝寝ぼけて起きてきた上半身裸の息子の背中に容赦なくばちーんと平手打ちしては「ぴぎゃぁ!?」と声をあげさせて、その反動で私の体がよろめいて大黒柱に足をぶつけては、
「KusuriYouBEeeeeeっ!!!」
と叫んで蹲るくらいには不機嫌斜めである。
ご機嫌斜めではない。不機嫌が斜めなのである。
「ぷぷっ、サリーちゃ〇のパパみたい」
ティモシーこと私の妻が私の髪の毛を見ては笑う。
そう、今日は湿気が凄い。
なぜなら朝から雨が降っているから。
そして、朝帰りだからでもある。
……決して、変な意味ではない。
ただ、遅かっただけだ。
そんなレインがフォールする中帰ってきたこともあって、我が髪の毛はしっとりとほのかに水気を帯び、湿気により両角が生えてるわけだ。
これがまた。
くせっ毛なこともあって、直らない直らない。
そんなこともあって、私は不機嫌斜めなのだ。
だから私は。
今日、決めたのだ。
元からすでに頭頂部がハゲかか――( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン
左右だけが伸びやすいその髪の毛の角となったくせっ毛がとにかく邪魔くさくて。
だから、意気揚々と、いつもの行きつけのお店、TOKOYAへと。
そして、そのお店。大きなモールのようなビルの中にあるそのお店の入口に立って一言。
「……ど、どういうこと、だ……っ!?」
に繋がるのである。
その入口の自動ドアには張り紙が張ってあった。
いや、以前は張っていなかったはず。
なのに、なぜ今日に限って貼り付けられているのか。
――7月8日より水曜日を定休日とさせて頂きます――
……今日に限ってではなかった。
なんなら何ヶ月も前からだった。
しらん。
しらんぞ私は。そんなこと誰からも聞いてはいない。
そうか、そういうことか店主。
私だけか。私だけがこうまであなたと仲がいいと思っていたのか。
そりゃ一回も店主とは話したこともなければいつもカットする人はバラバラ。訪れる時間もバラバラで会話もしてないのだから仲がいいわけでもない。てか誰が店主だよ。知らんわ。
そんな憤りとともに外へ。
外は私の気持ちを代弁するかのように雨がしとし――止んどるがな。
一際長い傘を持ちながら、私はどうしても今日髪の毛を切らねばならんと強迫観念にも似た意志を持ち、ここまで来たのだからとスマホで近場のTOKOYAを探す。
この行き着けで【あった】お店のことなんて忘れて新たなお店の開拓だ。
さあ、どこだ。どこにある。
近くにあるはずだ。ここと同じくらいの安いお店がきっと。
そして見つけた。二箇所のお店。
一つは遥か遠く。なんだったら引越し前のアパートの近くだ。
同じ地域のアパートから一軒家を立ててまったく正反対の地域に住んだ私の家からも、今いるこの場所からははるかに遠いその場所。そう言えばあのアパートに住んでいたのはかれこれ十年くらいは経つわけかぁと感慨深く感じながら、十年前にこんなとこなかったなぁとか思う。
(実は十年前にもそこにあったらしい)
もう一つは、我が家から最寄の駅傍にあるお店。
今いる地点から駅を挟んだ向こう側、といえばいいのだろうか。
比較的近い、いや私のいるビルから見えるのだから近い。ただ駅が間にあるため遠回りする必要があるだけだ。
どっちにしよう、どっちがいいだろう。
っというか、ここしかないの? そんなわけないだろう。どこにでもあるはず。
と、スマホ片手に探しながら。
辿り着いたのは最寄の駅傍のお店。
夫婦でやっている感満載の木製の家屋のTOKOYAだ。
からりんっと横スライドの扉をあけるとすぐ隣にレジが。
そこにいる奥さんにお金を払って、客も私だけだったのですぐに席を案内される。
「今日はいかがなさいますか?」
なんて言葉を期待した。
実際、そのような言葉を発されて、モデルの写真を見せられる。
「じゃあこ――……っ!?」
「15mmから3mmまでご用意しております。15mmが最大ではありますのでご了承ください」
な、なんだ、と……。
モデルは全て、坊主。
ただ3mm、5mm、9mm、12mm、15mmの坊主カットされた店主と思われる方の坊主姿の写真が載せられている写真を見せられたのだ私は。
な、なぜだ。
なぜ、坊主一択。
大人が坊主にするときは、大体悪いことをして反省の意味をこめたときと相場は決まっているのに(※注意:人によります)
「本日は、どのようにいたしますか?」
二度目の質問。
どのようにもなにも、坊主だけじゃないかい。
「そうですね……」
私は吟味する。
坊主を。
いくらみても坊主だ。
どこからみても坊主しか載っていない。
縦から見ても、横から見ても、上から見ても坊主だ。
ちらりと、私は考えるようにレジ――つまりは入口を見る。
「……では、今日は15mmで」
「分かりました。15mmですね。耳と襟足のほうは――」
入口に書いてあったそれは。
「坊主カット専門店」
そりゃ、坊主しかカットモデルないわぁ……
ぱんなこったぁ!
皆様いかが坊主をお楽しみでしょうか。
ぱんなこった教教祖こと、パパ上でございます。
皆様に、今日も明日もぱんなこったと坊主の奇跡が訪れますように(-人-)
ってなわけで。
私、今現在進行形で坊主でございます。
いやぁ、すっきりしたわぁ。いやぁ、気持ちいいわぁ。いやぁ、シャンプーの泡立ちもキレもいいわぁ。
といいことずくめでございます。
惜しむらくは
「教祖さん、何か悪いことでもしたの?」
と会社で言われることでしょうか。
勿論、
「ええ、昨日山手線外回りで男性のきゅっと引き締まったお尻を触っていたら手をつかまれまして、「痴漢ですっ!」と騒がれたので隣の人の手を犠牲に持ち上げて事なきを得たところです」
なんて返すしかないですよねっ☆
※私、山手線には何年もお世話になっておりませんのであしからず。
さてはて。
そんな坊主な私。
すっきりしたところですっきり描いてみよう(?)
とのことでまたまたお絵描きさせて頂きました。
近況ノートにもちょろっとだけ載せてはいますが、なかなかあの飾り、しっかり描けたなぁと思ってます。
飾りだけでなく、髪でも垂れた犬耳のようにイメージしてみたのですが、どうですかね?
なぜ犬のイメージかって言いますと、なかなか変則的。
ほら、大型ショッピングモールのマスコットみたいなのいるじゃないですか、なんでしたっけあのカード。
そう、WAO〇。
あれが印象的すぎて、カード翳したらそういっちゃいそうですよね。
ってなわけで。
■和響さん
https://kakuyomu.jp/users/kazuchiai
描いてみました。
https://note.com/292339/n/n6c13e83dc3ae
さて、例に漏れず。
ここ最近私は私とまったく交流がない、または私がこっそり読みに行っている方を描いております。
つまりは。
ええ、気づかれないでしょう。
気づかれることがない。
これこそ、【M】たる領域。
とまあ、そんな感じですので。
もし我慢できない方や是非お伝えしたい方がいらっしゃいましたらいくらでも私の【M】なんぞ気にせずにお伝えしてあげてください。
もっとも、その方が喜ばれるかは、また、別のお話……
ではでは。
にんにんからの~
どろんっ☆
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