新潟に響くは、たぬきと慟哭(アメたぬきさん企画)
もうちょいで埋まりそうなのに埋まらない都道府県の報告。
北陸のうち、富山、石川、新潟は納めました。
以下のリンクが元ネタ。
■【爆笑完結】緊急速報:宇宙人侵略「各県の状況を伝えよ」
https://kakuyomu.jp/works/16816452219427045148
続きがこちら。
■【爆笑】都道府県オープン参加小説2:宇宙人侵略その後、各都道府県はどうなっている。
https://kakuyomu.jp/works/16816452219500906547
さあ、次は、貴方が、県の報告をかく番ですよ!
(≧∀≦)
――――――
「はあはあ……はあはあ……」
一人の
その姿は、時にはJK、時には猫、時にはシマリスに変わり、今は立派な背アブラを拵えたパンダとなって、森の中を走っている。
ここは新潟県。
新潟県から福島県へと続く、国道352号線。
74km程続く、樹海ライン。国道とは一体何なのだろうかと思えるほどに、過酷な道であることから、そこは酷道ロードと呼ばれ出したのは、いつの頃だっただろうか。
少なからず、今は北陸では定着してしまった、独立国家富山王国が独立する前からであるのは間違いないだろう。
今では巷では日本から独立ブーム。
どこの県も市も、独立しようと虎視眈々と――いや、ゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人との密約をかわし、思惑通りに独立しようとしているのだ。
日本は、そのお国柄、一致団結、協力し合うことで力を発揮することが定番だ。その力を削いでは支配しようと企むゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人の思うつぼにはまった日本国民は、さぞかし滑稽に映っているのであろう。(お国柄って書こうとしてお肉柄って書いてしまうのもまた定番だ)
そんな中、その酷道ロードのすぐそばの樹海。
そこで、必死に逃げているパンダがいた。
そのパンダの汗の量は酷く。服は全面汗で色が変色しており、パンダがこれまで死に物狂いでかなりの距離を走ってきたことを物語っていた。
疾走を終えれば、間違いなく何キロかは痩せているだろう。
この運動で痩せてから同じように活動をこれからも行えば健康的に過ごせることができるかもしれない。
ただ、それは逃げるという行動を行っている原因から、逃げ切ることができれば、の話ではある。
必死に逃げるそのパンダの背後に「たぬたぬ」と歩くたびに擬音を撒き散らすなにかがいて、ゆっくりと一定の距離を保って追いかけてきている。
その表情は薄暗がりの中、隠れてみることはできない。
パンダの背後には、遥か遠くからでもはっきりとわかるほど赤い紅蓮の炎に身を焼かれた何かがあった。
それがそのパンダの隠れ里であったことは、だれも知らないだろう。
富山王国と石川県の戦い。
そして、漁夫の利を狙おうと画策して、戦いの最中背後から、上越から富山へと繋がる26本のトンネルを超えて、向かい来る新潟県。
富山王国は窮地に立たされた。
まさか、あのトンネルをくぐって攻めてきた、だと?
途中にある親不知、子不知の巨石群に目もくれずに!? 日本の中心地、フォッサマグナさえ無視して短時間で!?
蜃気楼さえも無視して一直線に突き進む新潟県。
その戦いはまさに、戦国時代の勇将、謙信公のようであったと、後日、富山王国国民は語る。
そうまでして、富山の力がほしいのか。
富山の薬がそうまでして。
いや違う。
富山の薬はいらない? え、薬を要らないとは、じゃあなにがほしい。米か!? 米なら新潟のほうが凄い。ならばなんだ! な、何もいらない、だ、と!?
そんな悲痛な声が、富山国民から溢れ出す。
新潟は漁港も盛んである。有している土地もなにもかも負けている富山王国だ。
このような時に背後から攻めてくる謂れはなく、時代が時代なら、背後を護ってくれるべき県ではないかと、叫びは止まらない。
新潟県はいう。
「ただ、通り過ぎたかっただけだ」
と。
富山王国は、王国たり得ても、やはり通り過ぎる県上位ランカーの称号は、なくせないようであった。
そんな富山王国が危機に瀕しているとき。
パンダは、新潟から福島県へと、樹海の中を必死に走っていた。
汗まみれのパンダは、汗なのか涎なのかもわからない液を飛び散らしながら、全てを投げ捨てて逃げる。
生き残るために。
「はあはあ……」
どれだけ走っただろうか。体はすでに限界に達していた。いくら酸素を吸っても意識は朦朧とし、どこを走っているのかさえ分からなくなる程走り続けていた。
まだ追ってきているであろうアレを確認する為、恐怖に歪んだ顔で背後を見る。
「はあはあ――はあ……?」
いつの間にか、アレはいなくなっていた。
諦めてくれたのだろうか。
いや、自分を狙うアレが、そう簡単に諦めるだろうか。
だが体はすでに限界だった。
パンダはゆっくりとスピードを緩め、やがて止まる。
ほんの少しの落ち着きと、辺りの静寂に、パンダは逃げ切ったと感じて安堵した。
真夜中の逃避行。
自分の隠れ里から遠く離れているとはいえ、隠れ里の周りは森林地帯だ。
こんな森林地帯に拠を構えなければ、もう少し逃げる方法もあったかもしれない。自分が次に狙われるようなことがあればもうこんな場所に拠点を構えることはないだろう。
そう思うと、逃げ切れた安心からか、目から涙が零れ、笑いが止まらなくなった。
「ぽんぽこぽ〜ん」
声が、聞こえた。
パンダは驚き青ざめる。
辺りを見渡すが、大きな大木だけが周りに見え、声の主はどこにもいない。
「よくここまで走ったぽん。ぱんなこったの称号を与えるぽん」
追い打ちのように声が聞こえた。
誰かがいる。
誰かというのも分かっている。パンダはまだ自身の危機が去っていないことを感じ、戦慄し、パンダはその声の場所を特定した。
頭上からその声が聞こえていたのだ。
見上げると、大木の太い枝の上に、アレがいた。
茶色の毛並み。
語尾がぽん。歩くたびに鳴るたぬたぬ音。
もしこれが人型ならば、
https://note.com/292339/n/n1c73b2fab0c8
こんな姿をしているであろう。
間違いない。
こいつは――
アメたぬきだ!
パンダはその場に座り込んだ。
もう、逃げることはできない。
なぜ追いかけられているのか。
富山王国の滅亡をこの目で見ようと思い、新潟県に入ったからだろうか。
世はまさに、独立ブーム。
新潟県もまた独立を果たし、富山王国、石川県、そして福井県と北陸四県を北陸として独立統一するため、ゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人の力を借りながら動いていたのだ。
新潟県で声をかけられたことが間違いだった。
あの魅惑な一言に乗っかって、ついこの戦いに手を出してしまったのがいけなかった。
独立しようとしている都市に、近づいてはいけなかったのだ。
すでに私の仲間達――あらゆる地方に散った桃色たぬき戦隊の仲間達はたぬきの手に落ちた。
まさにこれは、警告。
パンダは、自分が、このアメたぬきに負けたことを悟った。
「……地方を歩き回って疲れたぽん。ここらでそろそろパンダを落として休むぽん」
独立国家を歩き、走り、時には共謀し、敵対し、協力しているたぬきがいることをパンダは聞いていた。
私はパンダだ。
いや、JKだ。いや違う、シマリスだ。ん? 私はなんだ? そうだ背アブラだ。
私も背アブラとして、このたぬきとともに、進むべきだったのではないだろうか。
なのに、なぜ、私は、この新潟含んだ北陸の争いとはまったく関係のない戦いに身を投じたのか。
「ほい、たっちぽん。次はお前が頑張る番ぽん」
その戦いの名は――
――鬼ごっこ。
たぬきの宣告が辺りに木霊し、パンダの慟哭が森の中響く。
―――――――
もし私マニアこと、ぱんなこったがいらっしゃるのなら、もしかしたらこのお話、ぴんとくるかもしれません。
私の作品【ライセンス!】のプロローグをもとにした、パロディですね。
よかったら、こちらの話読んだあとに、【ライセンス!】のプロローグ見て違いを楽しんでみてください(≧∀≦)
実際はこんな話ではないですよ?(笑
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