石川……そを手中に治めるべく暗躍しオチが、ない(アメたぬきさん企画)
独立国家 富山王国。
チューリップは咲き誇り、現代の花の都と讃えられるその王国。
日本というこの国の背骨の一部を形成する飛騨山脈から花崗岩、新第三紀の地層や岩石、あるいは石灰質の岩石を伝い流れて海へと至るその水。「うまみ」を高めるミネラルも溶け出すその川々による良水は、数々の名水百選に選ばれる。
日本という国の中でも、両質の地質を兼ね揃えるという意味では、ただ一ヶ所の、恵まれた場所といえるだろう。
富山県を流れると、水はおいしく変身するとはよく言ったものだ。
そのような水も、飛騨山脈がなければ生まれることはなかったわけだが、飛騨山脈という広大な山の幸とその良水を使い作られた料理は、至高の一言。
クレーターのような月型の土地により、外からの不純物は地続きの地に阻まれ、自然に出来上がったは豊富な地底湧水、地下水層を湛える富山湾。
その富山湾に流れ溶け込むは飛騨山脈からの恵み。
深層水と海が織りなす海の幸は、究極の一言。
そこは。
まさに。
この日本という平和な国に生まれた、オアシスであり、ユートピアであり、秘境であり、桃源郷ではないだろうか。
それが、富山。
独立国家
富山王国
王たる国である。
「以上が、富山王国の実態です」
石川県。
石川知事公舎で、石川知事は秘書から提出された富山王国の圧倒的魅力について説明を聞いていた。
「いかかでしょうか。かの土地のスペックは」
秘書の質問に、深く座っていた知事は重い腰をあげ、立ち上がって窓の先を見た。
その遥か向こうには、今は見えぬ、魚津の蜃気楼。
あの地平線の彼方で繋がる蜃気楼のように、いつか彼の地とまた手を取り合う日が来るのだろうかと、想いを馳せる。
「我らはこの日本という国の中、すでに首都と言われた都市の力を借りるまでもなく、国家を樹立し続けた。さあ、富山国民よ。今こそ立ち上がるときっ!」
そのような演説が北陸全土に流れ、富山が独立したのは何年前だっただろうか。
今は遥か遠い昔の話。
都では知られていないだろうが、北陸では有名な話だ。
北陸三県から袂を別つこととなった富山王国。
あの雄大で難攻不落の王国を落とせるのは石川しかいない。
「厳しい、戦いになりそうだな」
「ええ……ですが、なにもかもが、我が石川は富山王国に勝っており、劣るものはありません」
秘書の勝ち誇ったその言葉に、知事は呆れた。
なぜ、劣っているから勝てると思うのだ。
なぜ、ここまで富山王国は独立し続けられたのか。
そこに、恐れを懐き、警戒し、入念な作戦が必要だと感じないのか。
石川県民の誰もが恐れる富山王国の潜在能力。
あそこがなぜここまで独立していることを知られていないのか。
富山がなぜ、富山王国たるか。
彼は知らないのだ。
なぜなら――
「その、傲慢と油断に、足をすくわれないようにな」
知事も、知らないからだ。
そしてまた、石川県も知らない。
富山王国の誰もが、石川県に恐れているということを。
なぜなら。
「なあ。石川潰したら、いなだ、食べられなくね?」
「あー、あれな。味の十字屋のいなだ、美味しいよね」
「40g、3袋くらいで万超えな高級珍味やからなぁ。石川様々だべさー」
そう。
いなだが、食べられなくなるから、だ。
――――――――――――――
富山県民はみんな、いなだが大好き。
きときと富山、いちどはこられ〜☆
なお。
独立していることを知られなかった理由は、富山県民全体的に商売下手だからです。きっと。
……やっべ。
まぢ何書いてるんだろ(笑
詳細はこちらをどうぞ☆
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