【緊急速報】千葉県より富山県の状況を伝える(アメたぬきさん企画)
私は、走る。
まさかこんなことが起きていたなんて思ってもいなかった。
今回の佐賀県の独立。そしてどんどんと独立していく県や都市。
前々から、密かに、ゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人とどこの県も秘密裏に独立するために繋がっていたのだ。
その繋がりに、富山県も関わっていたなんて。
気づいてしまったからこそ、今すぐ伝えなくてはならない。
私は、千葉県から、富山県へ向かって、走る。
だが、無謀であった。
千葉県から富山県まで。
どれだけ距離があると思うのだ。
おおよそ450kmだ。
自動車で高速道路でかっ飛ばしても、最低でも5時間、休憩を入れて安全走行で渋滞に巻き込まれなくても8時間はかかるのだ。
途中、関越自動車道であれば、関越トンネルを越えた先の越後湯沢でゆっくりのんびりたっぷりと一泊して休んでから向かいたいところベスト1位な富山県だ。
上越自動車道で行くなら妙高辺りってところか。
私は何を無謀なことを……。
なぜ、走った。
なぜ車を使わない。
誰か、誰か。
私の代わりに、この状況を。
誰か、代わりに富山県へ、伝えてくれないか。
皆が知らなければならない。
富山県が、富山県が――
「何? 富山県が独立した?」
スマホから電話帳を検索し、出てきたその電話番号をプッシュして。
市役所勤めの富山に住む私の実の兄へと。
富山県が、日本から独立しようとしていると。
私の思いは、通じた。
「まあ、分かったっちゃ。その話は俺からしっかりと伝えておくっちゃ」
それはこの日――そんな戯言を言っても信用されるはずのないエイプリルフールだからこその嘘だと思われている。
だがこれに至ってはそうではない。
富山県は、今、日本から独立を果たそうとしているのだ。
これを嘘だと思っていたら、明日には痛い目を見ることは間違いない。
だから私は走った。
たぬんたぬんと揺れる腹。
ぜぁぜぁと絶え間なく吐き出される吐息。
もつれては座り込もうとする足。
どれだけ頑張っても、隣の駅までが、限界だった。
最初の100m以降は歩いていたほどだ。
だから私は、文明の利器『スマホ』から、富山県へ発信したのだ。
なぜ走った。
体が悲鳴をあげることは分かっていたはずだ。
最初からスマホを使って電話で伝えればよかっただけなのに。
なに調子ぶっこいて千葉から富山に走ろうなんて思ったのか。
死ぬ気か。本気でやったら死ぬぞ。
最初から電波飛ばせよ。
「でもなぁ……」
電話先の兄には私の思いのたけは伝わった。
だが私から聞いた後のその口ぶり。どうやら、私の話を信じていない。
「まあ、それ、誰も信じないっちゃ」
「な、なん……で――」
信じてくれ。
富山は。富山県は――
「
――え?
嘘でも、なんでも。ない?
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詳細はこちらを。
■この日記でも色々お世話になってるアメたぬきさん
https://kakuyomu.jp/works/16816452219427045148
きときと富山、一度はこられ~
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