物書きはどこか似てくるんだよ、とシキナはいった。

 どんなふうに? と僕は尋ねる。

 たとえば、瞳の強さに、と君は答える。物書きはなにかを引き裂いてやろうといつも思っている。なにかを暴いてやろうといつも狙っている。そういう心づもりが、瞳の強さに宿る。すくなくとも、そういう傾向がある。

 君も春川桜子も、たしかにそういうところがある。

 ふふん。

 なにかを引き裂けたのか? と僕は尋ねる。なにかを暴けたのか?

 わからない、と君は答える。でも、わたしには無理だったとしても、それを成し遂げてくれる人は、いつか絶対に現れるんだ。

 あるいは春川桜子が?

 もしかしたら、そうかもね。シキナは薄く微笑む。そうなってくれるかもね。

 二年前に君はいったね、と僕はつぶやく。いずれ空想の物語が、ミサイルにも毒ガスにも打ち勝つ日がやってくるって。君の作った秘密のサイトはいまも順調に成長している。君が思い描いた未来は、近づいているのか?

 物語はまだ、ミサイルにも毒ガスにも勝つことは出来ない、と君は認める。でも、その日は確実に近づいている。そのためにわたしたちは、仲間を増やし、研鑽を重ね、楽しんでいる。この楽しみが世界に広がれば、きっといまとはちがう、素晴らしい世界になっている。

 その日のために、君たちは光合成を続けているわけだ。

 え?

 なんでもない、と僕はいう。そしてつぶやく。その日がやってくることを、陰ながら、微力ながら、応援させていただくことにするよ。

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