3日目 最終決戦(1)

レイくんは身長が伸び、体ががっしりとする。

オジサンは単純に若返る。



アレックスは前回と同じだが、武器がリボルバーから手斧になっている。

忘れていたものを思い出した。

専門店の女の人から渡されていたんだった。


「アレックスさんこれを!」


渡されていた武器を投げる。


「おんやぁ?こいつぁ随分と懐かしいものじゃねぇか。Anfang起動しろIm Namen 神の名にGottesおいて。」


するとその黒い棒は形を変えて帽子と鎌になる。


「いよぉ、しばらくぶりだなぁ。もう使う機会はないと思いたかったが、まさかなぁ・・・。頼むぜ、Geistesser霊喰らい


レイくんとおじさんは手をこちらに後ろ向きで振ってきた

「「こっちは任せておけ(おいて)」」


アレックスも後ろを向き手を後ろ向きに振った。


「休んでおきな・・・いるんだろう出て来いよ。レイチェル。」


そう言うと後ろから知らない顔をした女性が。あの日の姉の偽物と同じ格好で出てきた。


「ばーれちゃった♡」


そう言って出てきてウインクをする。


「さて、アレックス待たせたね。」

「その声、姿・・・マジでか、良かった!無事で!」


鎌を放り投げそのままその女性に駆け寄るアレックス。


口がこちらに向かってこう言っていた。

『何を言っても無駄だよ。精神汚染をしてるから。君にやったのと同じことだよ。』と。あの一瞬でかけられるのか!?

その瞬間アレックスがそいつに抱き着いた

止めたくても体が、物理的に動かない。


「しまった!もうアイツの術中に!」

「ケンちゃん、アイツがもしかして・・・」

「あぁそうだ!今止めなきゃアレックスが危ない!」


アレックスが涙を流しながらそいつに話しかける。


「やめろ!アレックス!そいつは偽物だ!」


しかしアレックスにその声は届かないみたいだった。他のみんなも動けないみたいだったが課長は余裕をかまして見ていた。


「課長!助けてあげないんですか!」


そう言うと課長はキョトンとしてこちらを見た。


『え?いります?見てなさい。あれがアレックスの凄さですから。』


アレックスの方を改めて見ると。


「本当に・・・・本当によかった!」

「じゃあ私を騙る人を殺してくれる?」

「あぁ!そんなのお安い御用さ!」


そう言うとアレックスは自分の腰からナイフを引き抜いて――――


「こうだろ?」

「え?げふっ」


そいつの背中に突き立てた。

その瞬間後ろに跳びのき手斧を投げつけ銃を作り3発叩き込む。


「かはっ!こひゅ!どお゛じで?」

「種明かししようか。あいつは『レイチェルって名前』が大っ嫌いなんだよぉ。それで呼んで反応するといつも不機嫌なんだよぉ・・・あいつを呼ぶときは『マリー』だ。冥途の土産に覚えておきなぁVerdammte Frauクソ女。あ、もう死んでたなHAHAHAHA!」


それを言い終わった最後に銃を1回撃った――――


「【Reflectionリフレクション】きゃはハハハ♡それぐらいで殺せるとでもぉ?かわいいね~アレックス~。まぁ最初の一回目はかなり刺さったけど、惜しかったねぇ~」

「ちぃ!まじかよ!Am schlimmsten最悪だ!」


――――しかしそれは反射された。


女の傷はみるみるうちに治る。背中の傷を残して。


「あれ?え?なんで?」


震えるアレックスから笑い声が聞こえてきた。


「くくく・・・HAHAHAHA!笑いがこらえきれないぜぇ!悪いなぁ!そいつは、【Unheilbar不治】なんだよなぁ!」


アレックスが武器を捨て、手を横に突き出すと鎌が独りでにアレックスの手に収まった。

瞬間アレックスからとてつもない殺気を感じた。

マグマのように煮えたぎっていながら、とても冷たい。

まさしく【死神】といって正しい殺気を。


「楽に殺しはしねぇよ。覚悟しろVerdammte Frauクソ女が。」

「きゃはハハハハハハ!!!そのくらいで殺せるとでも?ごめん、無理でしょw」


はぁ~と息を吐くとそいつは目を細めて呆れたように、つまらなさそうに言ってきた。


「興覚めだよ、gross manキモい男はとっとと帰ってママのミルクでも飲んでな。それとも鼻くそのほうが好みかな?」「ほざけよ外道。死ぬほど脳みその中引っ掻き回してミンチにして蟻にくわせてやろうか?」

「「 | Shut up!( Halt‘s Maull!)《 黙れ!》」」


瞬間空気が爆ぜた。

中央では鎌の柄で攻撃を受けたアレックス。それに対し銃底で柄を殴る女。

女は少しかがみ半歩踏み込む。その時アレックスは半身そらすことで態勢を崩す。

それを分かっていたかのように銃先を向けて撃つ女。

それを見てから鎌ではじくアレックス。どれだけ早くても、構えるときは人の動きだからこそできたのだろうとも思えるが、実のところアレックスは同時に足元に丸いものを投げていた。丸いものが急速に発光を始める。

撃った後銃を一旦消してバク転の要領で後ろに下がる女。

だが、その隙アレックスがを見逃すわけもなく距離を詰め下からゴルフスイングで鎌を放つ。


「そらよぉ!」

「ちぃ!うざった・・・え!?」

「こいつの刃には貫通がついてるんだよぉ。神様純正のなぁ!」


それを手を鉄のように変えて無理に受ける女。しかしその腕を鎌は水に通すがごとく貫いていく。その一撃は顔までも縦に切り裂いた。


「まさか・・本物の神器!?」

「ご名答!そっち風に言うならExactlyかぁ?破壊は不可能だぜぇ!」


そう言って体を2度十字に切り裂く。


「・・・っちぃ!もうめんどくさい!死なないって言ってるのに!」

「死なないってなぁ・・・本当に不便な体だ、なぁ!死ぬほど苦しめ!」


話ながらも鎌を横なぎに払い再び距離を詰めるアレックス。なんとか片手を無理に治しながら下がる女。

その時顔を急激に変え、声すら変えてアレックスに話しかけた。


「やめてよ!マリーなんだよ!」

「あぁ吐き気がするねぇ!」

「痛!乙女の顔を何だと思って「てめぇなんか肥溜めに入ってるぐらいで丁度いいんだよぉ!」


容赦なく顔を引き裂くアレックスに戦慄を覚えた。

足幅を急激に変えて、リズムを崩しながら詰めるアレックスに、上手く銃を当てられない女。


「どれくらい細切れにすれば死ぬかぁ?大実験といこうじゃねぇか。」

「もうだいたい読めたよ。もう、要らない。」

「どこに撃ってんだ・・・そういうことか」

「君は先が読めすぎる。認めよう。敵として。だから・・・死んで♡」


その優位性は至極あっさりと崩された。

アレックスに対してではない、変なところに撃ったと思うと瞬間で全ての弾丸がアレックスに殺到する。銃弾を漏れなくアレックスが鎌で受けるか避けると急激に跳ね上がる女の霊魂の強さ。それと同時に最後の1発を女は放った。


「なっ!?」


それは、神の作ったはずの武器を


「これはまだ使いたくなかったんだけど~しょうがないよね~。」

「そいつはぁ一体何をしたんだぁ?どんな手品だぁ?」

「ソウルイーターって知ってる?」

「魂喰らいか?そいつは・・・まさかてめぇ!?」


今まで着ていた高校の制服の上を急にめくりあげるそこには真っ黒な何かがあった。それと同時に何もなかった。


「アタシね・・・色んな人を喰らってきたの♡一人対私の殺した全ての人。勝てるかな♡まぁ常時解放できる訳じゃないけど、おじいさんならこれぐらいあれば十分だよね♡」


体が言い終わると同時に掻き消える。


「ぐはっ!・・・げふっ・・・へましたなぁ・・・。」


腹部を抑えながら血を吐いて意識を失い倒れるアレックス。

元の位置に戻っている女の姿に恐怖を感じた。

傍らで絶望がそこで笑っていた・・・が、


『やっと許可が下りましたよ・・・さて。ふっ!』

「わしもか・・・アォオオオオオオオオオオン!」


翼が増えに増え、20対になってからその翼に課長が包まれて一気に輝く。

それに呼応するように叫んだココアさんの毛が薄く金色に発光していった。毛並みが伸びていき牙が鋭くなるところまでは見れた。

目が開けられるようになった時には、羽が1枚もなく、頭の輪を無くし、いっそう圧を強めた課長と、純白の毛に薄い金のオーラを纏い体が大きくなり、爪や牙がより鋭くなったココアさんであろう狼が立っていた。


「全開モ~ド!光栄に思えよ。これを敵目線で見たのはお前で2人目だ。」

『グルルァアアアアルァアアアアアア!!親友よ、今助けよう!マリー嬢のためにも!』



絶望のための絶望がそこに立っていた。

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