第18話 そこはまさにラ◯ホテルのよう。

「どうだ! なかなかの凄さだろ!」

 

 その日の夜、私たちは松本先生に連れられて今まで泊まったことがないような立派な宿屋へと訪れていた。


「すごい……これがランク2の宿屋」

 

 赤い絨毯が敷き詰められた廊下を歩きながら、私は思わずそんな言葉を漏らした。


「僕もこんな宿屋に来たのは初めてだよ」


「ふむ……私も初めてだ」

 

 どうやら私よりも異世界ライフを満喫している二人にとってもこの体験は初めてのようで、キョロキョロと興味津々に辺りを見回している。

 壁に飾られた絵画や、客室の扉に施された金の装飾など、もはや宿屋というより一流ホテルのような感じだ。


「この宿屋は私のお気に入りでな、壁は分厚く床も固いからどんな音や振動も一切外には漏らさない。つまり完璧なプライバシー保護によって実現することができたオールプレイオッケーの夢の要塞だ!」


「…………」

 

 うわーどうしよう……何だか急に泊まるのがすっごい嫌になってきたよ。というよりここって……まさかとは思うけどそういうホテルじゃないよね?

 

 一気にテンションが下がってしまった私は、そんなことを思うとため息を吐き出す。全額奢るからと気前よく言ってくれたので先生についてきたものの、その選択は間違いだったかもしれないと今さら後悔してしまう。

 そんな自分の心境など一切知らない先生は、突き当たりの部屋の前で立ち止まるとこちらを振り返る。


「この奥の部屋は私が長期契約しているプライベートルームになるので、君たちはこっち側の部屋だ。それでは諸君、明日は朝一からダンジョンへと向かう! なので今日はゆっくりと身体を休ませたまえ! では」


「ちょ、ちょっと待って下さいよ! なんで和希を一緒に連れて行こうとするんですか!」


「当たり前だろ。同い年の女子がいる部屋に寝泊まりさせるなど、健全な男子教育をする上で悪影響過ぎる。なのでこの子は私が一晩預かる!」


「いやいやいや! そっちの方がぜったい悪影響ですって! それに私たち3人はいつも同じ部屋で寝泊まりしてるので大丈夫です!」


「何を言う! 未成年とはいえ男は男、いついかなる時にスイッチが入るかわからん。なのでそうならない為にここは元教師として私がしっかり教育を……清き神聖な心を育てるために、私が性なる教育を……」


「いやもう漢字間違ってますから! 全然神聖な感じじゃなくなってますからね!」


「冗談だよ冗談! なーに私は指導者としてこの子の能力を鍛えようと思ってな。人生と冒険はいつだってタイムイズマネー。心配しなくてもこの少年の男子力は明朝を迎えるまでには100を突破するだろう」

 

 それじゃあグッナイン! と強制的に話しを終了させてそそくさと和希を部屋に連れ込もうとする先生を、私と浅田さんがタッグを組んで阻止する。

 ……とりあえずこの変態教師を、早く誰か捕まえて下さい!

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