第2話 第1捜査会議
京都府警察本部捜査1課は、新たな殺人事件と思われるとの連絡が入り、ドタバタしていた。
捜査本部設置と第1捜査会議の指示が入って、一層ドタバタしてしまった。
『第1発見者、勘太郎さんら
しいわよ。』
『来るかなぁ・・・。』
イケメンの勘太郎が帰省していると聞きつけ、婦人警官のみならず、女子職員達は、ソワソワしてしまっている。
八坂神社祇園祭殺人事件と名称が貼られた会議室に捜査1課全員が入ってしまった。
本間と木田は、ため息をついたが、皆の気持ちがよくわかるので、無駄なことは言わない。
『まぁえぇ・・・
全員着席してくれ。』
木田の司会で、会議を始めた。
一瞬遅れて。梨田が会議室に入って、大きな声で、
『小林・・・
いつの間に、こんな鋭どな
った。
ビンゴや、大ビンゴ。
お前の指摘してくれた。
左首筋の小さい傷。
あれが死因や。
針みたいな傷やけど。
ジデルペン系のアルカロイ
ドが検出できた。
いやぁ・・・
いつの間に。』
監察医の梨田が感心しきりになっているのだが。
『先生・・・
今の推理は、残念ですが、
小林の推理やありません。
ついでに、紹介しておく。
今の推理をしてくれた。
今回の事件の第1発見者で
通報者になってくれた。
警察庁刑事企画課監理官。
真鍋勘太郎警視や。』
当然のことで、会議室はざわめくことになった。
『か・か・勘太郎さん。
警視って・・・。
やっぱりキャリア組は、』
口々に、驚いている。
『皆さん、お久し振りです。
時が時なので、挨拶は、
すみませんが、これくらい
にさしてもろて。
今回の被害者さん、雑踏の中
フラフラしながら転倒しは
ったんです。
しかも、泡吹きながら。
倒れてすぐに絶命してしま
わはって。
黒滝君・・・
頼んだもん、ありまし
たか。』
『ハイ・・・
おっしゃる通り、赤色の円
錐形のプラスチックが。
指紋は2個。
1個は途中からズレてて。
もう1個は摘まんだ感じで
した。
ズレてる方は、被害者の物
でした。
被害者は、東京都足立区
在住。
新藤司さん、29歳。
運転免許証しかありません
でした。』
『さすが黒滝君・・・
ジデルペン系アルカロイド。
つまり、トリカブトですね。
黒滝君が発見してくれた、
赤色の円錐形のプラスチック
は、吹き矢の弾やと思われ
ます。
吹き矢の弾の先端に、針を
仕込んで、猛毒トリカブト
を針に塗った。
そんなとこでしょう。
ただ、吹き矢は、そんなに
命中精度がありません。
したがって、あんな混雑の
中で、吹き矢で狙えるもん
なんでしょうか。
今までのことで、僕が推理
できるのは、この程度です。
お力になれず、申し訳あり
ません。』
本間と木田と佐武、梨田も加えて。
『やっぱり・・・
凄い観察力やなぁ・・・
吹き矢では、難しいとこま
で考えるか。』
木田は、勘太郎がいないことが、いまだに悔しくて仕方ない。
『ハイ・・・
スポーツ吹き矢ってご存知
ですか。
的までの距離、6メートル
と8メートルと10メート
ルの3種目なんですが、そ
んな近距離で争う競技なん
です。
つまり、それほどに、命中
しないということだと思う
んです。
それを、あんな混雑の中で
、動く人間の首筋を正確に
射抜くことができるもんで
すかね。
吹き矢の弾だけ使って、接
近してた。
と考える方が自然やと思わ
れますね。』
そこまでしか推理できていない。
『乙女座まで送らせよう。』
本間が、気を使ったが。
『いえ・・・
寄りたい店がありますので。』
勘太郎は、萌の好物を買いに行こうとしていた。
麩嘉という京生麩の専門店で、銘菓麩まんじゅうを買うつもりだった。
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