仮面を鬻ぐ(ひさぐ)
さあさ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい
珍品探して三千里
ようやく見つけたお宝を
皆さんとくとご覧あれ
今日の宝はこのお面
七宝輝く海の島
東の国で手に入れた
この奇怪なお面です
見た目、形は面妖なれど
手に取り見れば、あら不思議
誰のものかも分らぬけれど
万の言の葉映ります
これを使えば貴方もきっと
孤独に人と交われる
これを使えば貴方はきっと
知らぬ人ともお友達
やあやあ、およしよ、およしよ、あんた
そんなお面が何になる
人は声と顔で会うもの
お面の会うとは別のもの
ちょいとお待ちよ、お待ちよ、兄さん
そんな摂理はありはせぬ
お面の会うも、今では会うだ
それが我等の生きる世だ
そんなこの世でお面があれば
一人であっても楽しけり
人と顔での交わり断てば
この世は更に楽しけり
今では人と顔で会うのも
一つの苦へとなったもの
今では人と顔で会う世も
貴方の中の理想郷
そんな事はありはせぬ
人は一人で生きられぬ
心は今も人の中
それを隠して生きるのみ
いまやこの世は蓑の中
自分の心を隠してる
全てを自分に閉じ込めて
自分も騙して生きている
そんな世界に何が要る
そんな仮面は無駄なもの
今は自分を前に出す
「会う」という名の魔法だけ
見知らぬ人と会わずとも
周りに人はありにけり
見知らぬ人と会わずとも
友は右手に在りにけり
仮面は楽な快楽で
「会う」は危険な苦行なり
仮面は危険な快楽で
「会う」は楽しき桃源郷
何故仮面を被るのか
つるつるとした友人と
傷付け合う為被るのか
何故「会う」を拒むのか
たとえ苦難があろうとも
根深い友と会えるのに
今日は商売上がったり
変な兄さん参ります
今度は互いの「出会い」を結ぶ
心をひとつ売るために
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