第2話 難民を助けよう

(仕方ない。見つかったら、その場で叩きのめそう)



怖い発想だが、見つかって捕まるよりはマシだ。



そうなればミルディアだけじゃなく、彼女といる両親も、その雇い主の伯爵家にも迷惑がおよぶからだ。



ただ、今のところ、騎士に遭遇していない。


さすがに他の領地には踏み入れないだろう。



国王がどこまで危険区域として町を封鎖するか分からないが…まだ魔物の姿も見ていないのだ。



「見て!あれ、全部が隣の住民達?」


馬車で町に訪れたミルディア達がまず目にしたのは、沢山の人で溢れている町中の風景である。



川の向こうの町、コンコリ町から来たであろう、沢山の荷物を持ち、行き場のない彼等は町の至る所にいた。



ある者は座り込んで途方に暮れて、またある者はイライラしたようにウロウロし、叫ぶ者や嘆いている者がいる。



町から少し離れたところに馬車を置き、アリシアとともに町に入る。



「お嬢様、こちらからです。町の反対にセシア様がいらっしゃいます。迎え入れているようです」


先に行ったクレイクが、町に入ってすぐに現れ、裏道に案内する。



どうやらこのまま町中を歩くには、人が多すぎて無理だと判断したようだ。



裏道や抜け道に詳しいクレイクの案内のおかげで、町の反対近くまでやって来た。



「つ、疲れたわ」


隣で歩くアリシアが、まだ何もしていない前から呟く。



ミルディアも、こんなに人が来るのかと、内心うんざりしたが、それを表に出すことなくため息をついた。



「アリシア様。セシア様は旧友の方と難民の方の誘導をされております。アリシア様は誘導ではなく、食事の手伝いに向かって下さい。近くの聖堂、東広場で作っているようです」



「あら、私が食事係?…私はお兄様と同じく隣の住民達の誘導をするわよ」



アリシアが顔をしかめた。



彼女は料理が得意ではなかった。



前を歩いていたクレイクが立ち止まり、彼女に振り返った。


「アリシア様、ですがこれは私だけではなくセシア様の指示でもあります。混乱している方達を宥め、時には喚いて怒りをぶつける方もいます。もしもの事があるといけません」



心配しているのだろう。



難民の相手は初めてだ。



彼女が経験不足で足手まといだからではなく、大切なお嬢様だからだ。


その難民でも時に乱暴な者や、手を出したり傷つけるような言葉を吐く者もいるのだろう。



ミルディアもアリシアにはそういう場所に行ってほしくなかった。




「でも、私は伯爵家の者よ!彼等に少しでも安心させたいの!」



頑固なアリシアは家令の言葉など聞き入れない。



その可愛らしい顔を不機嫌に歪め、反論する。



「アリシア様。私は旦那様からお嬢様をお守りするように言われております。危険な事がある場所に行かせられません」


「危険?危険な事ってなに?行き場のない苦しんでいる人を助けることの、何が危険なの!?」



不意に、そのアリシアの叫びに、ミルディアはハッとした。



『危険だって?あれのどこが危険なの!もう奴は動けない。それ以上やって何になる!?』


頭の中で前世のメアリーが、奴に向けて言った言葉だ。



向かってきた聖女の仲間の騎士を叩きのめした。そのあと、もう動けないとその場を離れたら、奴が『とどめを刺さないと危ない』と言って、動けない騎士に火の玉を投げようとしていた。



それをメアリーが止めて、奴と口論したのを、ふと思い出した。



アリシアの姿が前世の自分に重なる。



(…あのとき、奴はどんな顔をした?)



クレイクの顔は困ったような、それでいて心配そうにアリシアを見ている。



でも、あの時の奴の顔は、悲しそうで辛そうな顔をしていた。



「アリシア様…。わかりました。何かあればすぐにでもその場から離れていただきます。私やセシア様のそばを離れないで下さい」



前世の事を思い出していたミルディアは、ハッと我に返った。



「ありがとう…クレイク!」



パァッと顔を輝かせ、任せられた事がよほど嬉しかったのか、クレイクに抱きついている。




それは昔の、前世のメアリーではなかった無邪気さだ。



ミルディアは彼女の姿を眩しいものを見るように見つめた。



「さて、ミルディア!クレイクの許可が出たわよ!私達も…って、ミルディア!」



アリシアがミルディアに振り向き、近づいて叫ぶように話しかける。



(なんで、こんなに今更、奴を思い出す?)



だが、ミルディアは前世の記憶の思い出に囚われていた。



(良くない事が起きる前触れか?)



最近、ルーカスとの記憶が甦っているため、何か不吉な予感がした。



「ね…ミルディア!ミルディア!」



刹那、肩を掴まれ、叫ぶアリシアに身体を揺さぶれた。




ミルディアはようやくハッと我に返った。頬を膨らませて怒っているアリシアの顔が目の前にあり、ギョッとした。




「え…っ?あ、アリシア様!?」



驚き、目をパチクリさせる彼女を、アリシアはジーッと睨むように見つめる。



「ねぇ、ミルディア。今日のあなた、なんだかいつもと違って上の空ね。どうしちゃったの?」



心配と言うよりも怪しんでいるような視線を向ける。



腰に手を当て、覗き込むように見るアリシアに、ミルディアは慌てて首を振り、「なんでもない!」と答えた。



「ちょ、ちょっと寝不足で疲れてるだけです!ごめんなさい!ちゃんと起きています!」



睨む彼女から離れ、苦笑いを浮かべて頭を下げ謝る。



そんなミルディアの姿をまだじっと怪しむように見つめてから、アリシアは腰から手を離し、ふぅとため息をついた。



「まぁ、いいわ。クレイクの許可が下りたから私達もお兄様の手伝いをすることになったの。クレイク、急ぎましょう」



「はい!では、アリシア様、こちらから向かいます」




クレイクが軽く腰を折り返事をすると、そのまま右の道に曲がるように説明した。



アリシアは彼に続くように歩き出す。



ミルディアは軽く自分の頬を叩き、自分を奮い立たせると、アリシアに続いて右の道を曲がった。



右に曲がると、さらに右に曲がり、広い場所に出た。



民家が並び、その広い道に荷物を持つ人でごった返していた。



「ここまで来れば、ほら…あそこに、見張り台近くにセシア様がいます」



沢山の難民が歩き、その反対の流れに沿って脇道を歩くと、見張り台付近に難民と違って、白い外套をかけた制服姿の青年がいた。



その横にも同じ制服姿の青年。



アリシアと同じ、キラキラした輝く白銀の髪。



すらりとした手足に程よい筋肉のついた肢体。



難民に優しい目を向けて話している顔立ちは、昔に何度も見た伯爵家次男の面影に似ていた。



「あれ、お兄様よ。ミルディア。お兄様、本当に帰ってきたのね!」


兄の姿を目にして嬉しさがこみ上げたのか、突然、興奮したように叫び、アリシアが服を引っ張る。



「わ…?あ、アリシア様?危ないですよ!」



そのままミルディアの服を引っ張って、アリシアは周りの人達に目もくれず、兄に向かって駆け出した。



「お兄様…!セシアお兄様ぁ!!」



まだ離れた先から、アリシアが手を振り、セシアらしき人を呼ぶ。



すると、その声に難民と話していた彼が気づき、もう一人の金髪の青年も振り返った。



「…っ!アリシアか?」



白銀髪の制服男子が、アリシアを驚いたように見て呟く。




「アリシア様っ」



急に走った事で、ミルディアの息は切れて、肩で息をしていた。



(い、いきなり走るんだもん!運動苦手なのに…っ!)



ぜえはぁと息をつくミルディアの服を、アリシアがようやく離して、そのまま感極まったようにセシアの胸に飛び込んだ。



「お久しぶりですわセシアお兄様!会いたかった!」



白昼堂々、兄妹と言えど、状況も人の目も気にせず抱きついたアリシアに、ミルディアは唖然とした。



周りの人達も、急に現れた可愛らしい少女が青年に抱きつく姿を見て驚いている様子だ。



セシアと同じ制服姿の金髪の青年は、その綺麗な顔を少し恥ずかしそうに染めていた。



(あ、ああ。この方もそうよね。居た堪れないわよね)



伯爵令嬢が人目を気にせず、兄だとしても抱きつくのは見るに耐えない。




「アリシア…お前に会えて僕も嬉しいよ。だけど…離れなさい」



ガシッと肩を掴み、抱きついてきたアリシアを引き離す。



その顔は少し不機嫌そうだ。



美しい瑠璃ラピスラズリの瞳が陰り、眉間に微かなシワを寄せて、深くため息をついた。



「あ…ごめんなさい。でも…お兄様?」



アリシアも状況を理解したのか、ハッと我に返り恥ずかしそうに謝るが、セシアが再会の喜びとは遠い、不機嫌な顔をしていることに気づき、首を傾げる。



「あ…アリシア嬢!お久しぶりでございます!」




そこに、セシアを庇うかのように前に出た金髪青年。



アリシアは突然現れた彼に、目を瞬かせた。



「あなた…どなた、かしら?」



首をまた傾げ、問いかける。



すると、金髪青年は微かに頬を染めて、にこりとはにかむように笑った。



「セシアの旧友の、マクシミリアンです。三つ離れた先の領地の息子です」





伯爵家が所有する三つ分の土地の領地、その隣りの領地を治める男爵家の息子だ。



金髪にいつも泣きそうな顔をしていた、彼の昔の面影が重なる。




「マクシミリアン?…ちょっとお待ちよ。ねぇ、ミルディア、ミルディア」




マクシミリアンから後ろに振り向いたアリシアはミルディアを引っ張り少し離れる。



「な、なんですか?」



今度は何をするのか、と思わず身構えるミルディアに、アリシアは顔を近づけた。



「あの人、知ってる?マクシミリアンなんて…そんな人いたかしら?」



眉を寄せ、訝しげに問う彼女に驚く。



(確かに、マクシミリアン様は目立つような感じではなくいつもセシア様の後ろに隠れていたけど…!ああ、そうか。前は女の子みたいに可愛らしかったもの。あんな風に成長するなんて驚くわよね!)



「マクシミリアン様は、ほら…セシア様の後ろによくいらした方ですよ!女の子みたいと言って、アリシア様もからか…遊んでいたじゃないですか!男爵家の子息ですよ!」



ミルディアが焦りながら彼女に説明すると、うーんと唸って首を傾げていたアリシアが、ハッとしたようにミルディアを見た。



「あ、ああ!わかったわ!あのお兄様とよく一緒に遊んでいた天使の子ね!…え?でも、え…?」


手を叩き思い出した彼女はすぐにバッと後ろを振り向き、男爵家の子息、マクシミリアンを見て、またミルディアを見る。



「ま、ま、まさか…あの人、本当に、あの可愛かったミリアちゃん…?」



マクシミリアンは可愛かった。天使のように愛らしかった。



だから、自分よりも可愛い男の子を初めは女の子と勘違いして「ミリアちゃん」と、アリシアはそう呼んでいた。



見る見るうちに顔が青ざめていくアリシアを見て、少し可哀想になった。



「まぁ、まぁアリシア様。昔のことですからね!それよりアリシア様もちゃんと自己紹介した方がいいのでは?…待ってますよ?」



顔が上げられず、後ろを振り向けないアリシアからマクシミリアンを見れば、彼はアリシアの方を心配そうに見つめて話しかけるべきかと待っている。



「え…?あ、ああそうね。ミル…お願い、私の代わりに」



余程ショックだったのか、顔を上げた彼女は恥ずかしさに真っ赤な顔で少し涙目だった。



「うっ…。全く、しょうがないですね…。アリシア様、代わりに説明させていただきますけど、大丈夫ですか?」



「ええ。ほら、ミルディアお願い」




アリシアがミルディアの背に隠れ、グイグイとその背を押して、ミルディアはため息をつき、顔を引き締めた。



「おい、アリシア。いつまで話し込む?遊びに来たのなら帰りなさい」



刹那、苛立ったセシアの冷たい声が、アリシアとミルディアに向かって降ってきた。



ドキ!と心臓が鳴った。



ミルディアはマクシミリアンではなく、不機嫌なセシアを見て、冷や汗を浮かべた。



「お、お兄様…!私は遊びに来たわけでは…」



アリシアがハッと慌てたようにミルディアの背中から出てきて答える。



昔より雰囲気が冷たくなった。



声変わりして低くなったからか、別人の声に聞こえる。



「…隣の方を待たせてる。…手伝うなら早くしなさい」



一瞬の出来事だった。



そのとき、僅かに、セシアがアリシアからミルディアに視線を向けた。



その視線が冷たく、殺意を孕んだような憎しみに満ちた目だった気がして、今度はミルディアが顔を青ざめた。



(え…?な、何今の…。なんで、私に怒っている??)




セシアに、あんなふうに向けられる覚えはない。



彼はもう、難民の人達に戻って、話し込んでいる。



その顔は優しく穏やかだ。



「お兄様…こ、怖いわ…」



不意に、横にいたアリシアが呟いた。



ミルディアはハッとして彼女を向くと、そこにスッとマクシミリアンが目の前に立った。



「アリシア嬢。あの、話はまた後にしましょう。今はセシアも忙しく気が立っているだけです。手伝いをすれば、機嫌も良くなりますよ」



にこりと花が浮かぶ温かい笑顔で安心させるように、マクシミリアンがアリシアに気を使って話しかけた。



その笑顔に悲しそうにしてセシアを見ていたアリシアは、ようやくにこりと、まだぎこちないが笑みを返す。



「そう…ですわね。ごめんなさい私、久しぶりに会って喜んで、周りが見えていなかったみたいです」



軽くペコリと頭を下げ、ちょっと恥ずかしそうに自分の非を求め謝罪する。



そんなアリシアにミルディアも、マクシミリアンもホッとした。



「では、セシアの手伝いをしましょう。アリシア嬢、私のそばから離れないでくださいね」



自然な動作でマクシミリアンがアリシアの手を掴み、誘導する。



アリシアは驚いたようだが手を離すことなく、二人はセシアの元に向かった。



残されたミルディアは呆然と佇み、ドン!と難民の人の肩にぶつかった。



「おい、邪魔だよ!ぼうっとしてんな!」



苛立ったようにその人は吐き捨て、去って行く。



そこでようやくミルディアは我に返り、慌てて追いかけようとした矢先だった。



…きゃー!!



小さく、誰かの悲鳴が聞こえた気がした。



途端に、ぞわりと全身の毛が逆立ち悪寒が走った。



「これは…!」



魔力だ。



微かなモノだが、魔物の気配がする。



ミルディアはその気配と、悲鳴に町外れの森の方に向けた。



僅かに黒いモヤが見える。



「これは…やばい!」



何故かそのとき、助けなければ!と思った。



気付いたら、ミルディアは走っていた。



人混みをかき分け、門の外へ、森の方へと駆け出した。






……森に着き、すぐさま魔力を辿って奥へと入って行く。



少し広くなった木の生えていない場所まで来て、ミルディアは立ち止まった。



(げっ!最悪な展開…!!)



そこにいたのは、体長五メートル程の青い毛と角が生えた三角獣、ブルーブラという魔物だった。



ブルーブラは普段は大人しい魔物だが、縄張りを荒らされたりすると獰猛な獣になり、人を襲う。




今、まさに、その前方に、地面に血を流して倒れている二十代くらいの男女がいた。



その離れた場所に、荷物が転がっていた。



難民だ。町に入ればいいはずが、何故わざわざ森の中に入ったのか分からない。



(とにかく、今はあの二人を助けないと…!)




二人に駆け寄り、そばで膝をつき、息を確かめた。



女性は腹部から血が流れ、男性の背に足跡がある。



女性は角で突かれたのだろう。男性はそれを助けようとしたが、多分、逆に足蹴にされて地面に倒れ意識を失った。




「回復呪文は得意じゃないのよ」



チッと舌打ちして、ミルディアが軽く魔力を手に込めて、女性の腹部に近づけた。



少しずつだが、傷が塞っていく。



そこに、離れていたブルーブラがミルディアに気づいた。



『また、僕の家を壊す気か!』



頭に流れてくるブルーブラの声。



ミルディアもメアリーのように魔物の言葉がわかるのだ。



それが直接頭に流れてくる。テレパシーのように。



「待ちなさい」



ミルディアは立ち上がり、手で制した。



「私はあなたの家もあなたも傷つけないわ。今すぐ、この場から立ち去りなさい」



これは警告だ。



ミルディアはブルーブラを鋭く睨み話しかけながら、手に魔力を溜めていた。



『なんだ、コイツ…?魔力?お前人間…何故魔力?』




「気づいたのなら、わかるでしょ。私とあなたじゃ話にならない。今は見逃すから、ここは諦めて…」



力の差は、ミルディアの持つ魔力の方が上だ。



この手を動かすだけで、彼女は一撃であの大きな獣を倒す。



『人間が、指図…するな!』



しかし、ブルーブラは力の差がわからないようだ。



頭にきていることもあり、怒りで見えていなかった。



突然、ブルーブラが突進した。



ミルディアは顔をしかめ、舌打ちをした。


「本当…愚かな獣だ」



そう小さく呟き、ぐっと手に力を入れた。


刹那、ブルーブラの頭上に黒い無数の剣が現れた。



ブルーブラが息荒くミルディアに突進して二メートル先まで来た瞬間、頭上にある黒い剣が一斉にその獣を目掛けて降り落ちた。


「グォォオオオーーっ!!」


ブルーブラの断末魔が響き、黒い剣に無数に体を突かれた獣は地面に倒れ込んだ。



ピクピクと足が痙攣している。




近寄ることなく、ミルディアは痛みを堪えるような顔をしてため息をつく。



「馬鹿な子。力の差に気づかないなんて…」



ミルディアはブルーブラにそう呟き、動かなくなった獣から離れ、倒れる男女に再び近寄った。



どちらも意識を失っているだけだ。



「このまま森に置くのも…あ、そうね。転送しよう」



人目があるから二人をこのまま連れては行けない。かと言って、置いても行けないので、ミルディアはいいことを思いついた。



「さて、二人を…町の中心に…」



頭の中に、町の広場を思い浮かべる。



二人を囲むように魔法陣を描くと、頭に浮かんだ町の広場に移動するように、パチン!と指を鳴らした。



途端に、ブン!と魔法陣が光り、包み込むように二人の姿が光の中に消えていった。




「…私も、帰るか」



いなくなった二人を見て、不意にアリシアのことを思い出す。



また自分を捜しているかもしれないと思い、クスリと笑う。



「…あ。そうだ。あんたも帰りな。在るべき場所に」



ふと、ブルーブラの方に向き直り、パチン!と指を鳴らした。



すると、ブルーブラの大きな体が闇に包まれて、そのまま地面にゆっくり沈んでいく。



それを静かに見つめた。



……パキン!



そのとき、小枝を踏むような音が、背後からした。



弾かれたようにミルディアはそちらに振り返った。



木と木の間、そこに片方の手をついて驚愕しているセシアの姿があった。



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