孝子のR
最近、お昼休みの学食でバイク部の中で最もホットな話題は『孝子の次の愛車が何になるか?』だ。
本人も交えての何回目かのトークタイムで孝子の口から伝えられた車種はドカティ748R。孝子は随分抵抗したらしいが、結局、お父さんが所有している748Rを譲ってもらうことになったらしい。
孝子の900SSの惨状を見てなおバイクを降りろと言わないお父さんもやはりラテン脳なのだろう。
孝子は、お父さんがバイクに再び乗る機会がなくなる選択肢を選びたくなかったらしいが、最終的には〝機械は動かしてこそ〟というお父さんの説得に負けたとか。そして、やはり金銭面でも揉めた。孝子は車両価格とバイク屋での整備代全て出すと息まき、お父さんは全部自分が出すと主張し平行線。結局、長いこと乗っていなかった状態からの整備代を孝子が出し、車両代は「俺のバイクを壊さないこと」というこの一言が言いたかっただけのお父さんが受け取らないというところでまとまった。
それにしたって外車の正規ディーラーでの整備代はなかなかなものだと思う。GPZのレストアでは自分たちでやった作業も、ディーラーにお願いするとそこにすべての時間工賃がかかる。さらにガスケットやゴム製のシール部品などの純正部品も国産車よりは高いだろう。もちろん、お金を払った分以上に余りある恩恵を得られる。それは絶対の安心感。
孝子はバイトを増やして分割で父親に払うことにしたらしいが、何のバイトかは誰にも教えてくれなかった。
数週間後、またしても黄色になった孝子のバイクのシェイクダウンは峠ではなく、意外にも通学だった。朝、駐輪場で鉢合わせた孝子はSWANSのシールドをつけたAGVのジェッ
こちらは何も言ってないのに気まずそうに孝子から「絶対転かせないからね、当分は私の慣らし運転なのよ!」と言ってきた。次私が孝子に飲み比べで勝ったらファザコンって額に書いてやろうと心に誓った。
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