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現在。
目を閉じ、息を詰めれば、闇と同化するのはたやすい。
彼がうずくまっているのは、地下の下水道――ただの下水道ではない。皇師が秘密裏に神都〝
自らが作り出した闇に身を潜め、彼は耳をすました。
雫の残響と、
だが、
(――囲まれてる)
そのことだけはわかった。見つかるのは時間の問題のようだ。
彼が隠れている闇の周囲には、原形を留めない死体がいくつも転がっていた。焦げた肉の臭い。爆発の振動はすでに収まっている。
ワイヤーを目立たないように汚水に沈め、入り組む下水を利用した
爆発の余波で身動きできない身体。即席にしてはよくできたほうだが、炸薬が少し多すぎたようだ。慣れないことはすべきではない。やはり計算は、〝晴眼〟にしてもらったほうがよさそうだ。この次は気をつけなければ。
(次が、あるの?)
胸中で嘆息し、さらに思考を巡らす。
〝晴眼〟は自分との約束を護ってくれるはずだ。なら、追っ手を自分に集中させ、できる限り時間を稼ぐしかない。できる、できないという問題ではない。やるしかないのだ。〝晴眼〟は必ず約束を――
不意に閃光が弾け、轟音が彼の耳に届く前に、闇を吹き飛ばした。
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