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六台の
戒厳令でもしかれているのか、〝天京〟を東西につらぬく横断道は四車線ともがらがらに空いていた。門に近い外縁付近は戦闘が起きることを予測されて、早々に避難勧告が出たのかもしれない。街灯の灯りも消え、二十四時間営業の商店もシャッターを下ろしている。しかし満月のおかげか暗闇はその領土を拡げることができず、不思議と不気味さは感じなかった。
先頭車両の中、浅木少尉が敵の接近を告げた。
九音は新品のインナーアーマーを着込むと、
九音以下十名が街路に沿うように駆け出す。
閃光、轟音。戦車砲が装甲車の近くに着弾した。爆風が九音の視界を奪う。
粉塵が晴れる。
装甲車の列を九音は振り返った。
月光が降り注ぐ中、先頭車両、浅木少尉が銃座から身を乗りだして大きく手を振っていた。―――こっちは大丈夫だ、と。
今度は迷わずに、九音は手をふり返した。
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