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遷皇暦五十年、初夏、ことの発端は〝天京〟から発せられた奇妙な勅令だった。
「若年ノ形成者ヲ確保セシメ、適切ナ矯正ヲ行ナウニヨッテ、凶悪ナル犯罪ヲ未然ニ防グモノトスル」
しかし、この勅令を愚直にも中央政府は実行した。まず領内の〝
これを口火に噂はすぐに広まった。テレビがその模様を報道すると、形成者狩りは一気に列島全土へと飛び火した。この飛び火の影には、地に潜っていたはずの形成者排斥組織〝EGO〟の手引きが明白だった。形成者狩りは五十年の秋から翌年の三月までの間に列島を席巻し、確認されただけで述べ三百人の形成者が殺害され、それと同数の行方不明者がでた。行方不明者は〝天京〟へ連行されたものと考えられた。
筑前と長門の地方守護家はこの状況を憂慮し、遷皇暦五十一年、春、〝
そして柄沢九音は一兵卒として、作戦に参加していた。
九音は、形成者狩りが始まった五十年の冬に、地位も名誉も仲間も捨てて〝天京〟から逐電した。身をよせたのは〝
そして長門の守護家はどこから嗅ぎつけたのか、九音を見つけ出した。
しかし九音の期待はあっさりと裏切られ、彼女は今、戦場にいる。護国軍の一将校として隊を率い、〝天京〟へと進攻していた。
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