scene.17

《Gkook.cut》



今日はBLドラマで主演恋人役の2人が

何組か集まるイベントのような番組収録の日。


今でもジーンさんと仲良しな以前の恋人役、

バンクさんも違うドラマから出演で

僕達が現場入りするとすぐに現れた。



「ジーン!久しぶり!」


「あ、バンク!えー?この前ご飯食べたじゃん!

えっとこちら、今一緒に撮ってるグク君」


「…どうも、初めまして」


「初めましてー今日は宜しくね!

僕達がやったドラマの話もするみたいだからー」


「へーそうなんだ」


「そう、今の相手役の子にヤキモチ妬かれる画も

欲しいらしい…から…グク君…」


挨拶だけ済ませ、2人の会話を聞いているだけでも

フツフツとストレスが沸いてくる。


「グク君?」


「…はい」


「…もうヤキモチ画はバッチリだね」


「…役にのめり込むよね」



ジーンさんが少し困った顔で僕を見ても、

当の僕が思い切り顔に出ていても、気にしない。

ヤキモチを妬く画?そのまま僕の顔を撮ればいい。


控え室は何組か一緒だけれど、

ジーンさんと2人で着替えなど準備をしていると

様子を伺うようにジーンさんが覗き込んできた。


「…バンクはいいやつだよ?」


「だからです…」 


「え?なんかヤキモチ?…

もしそうなら妬く必要もないし…」


「…ジーンさんだって役になりきって

区別つかなくなったりするじゃないですか」


「ぁー…そう、だね…」


「…'元カレ'さんと仲良しですね」


「'元カレ'…って、

そんなふうに思った事ないけどな…」


「……'元'、でもないって事ですか…」


僕の声が小さかったらしく聞き取れなかったのか、

不思議そうな表情のジーンさん。


『スタジオ入りお願いしまーす』


離れた所からスタッフの声。

「行きましょうか」


「ぇ、う…ぅん」


ジーンさんの手を取り、…少し先を進みながら

手を引っ張るように繋いだまま…

スタジオに向かった。







《Jiin.cut》



幾つかのドラマの主演俳優が何組か集まり、

親友とも言えるバンクとも

バラエティ番組で共演する事になった。 


グク君にバンクを紹介して、仲良くなって貰えたら

ご飯なんかも一緒に行けるかなとも思ったけれど…

何故か彼等は…特にグク君は気が合わないらしい。


いつもより少し怒ってるようなグク君に

引っ張られるようにスタジオに向かった。



「さー!

それぞれのドラマとカップルの紹介が済んだ所で、

クイズの始まりです!

昨年、お似合いカップルBest3に選ばれた

バンク君とジーン君、

今回違うドラマながらもお揃いですが…

バンク君、どうですか?」


軽快な司会者のトークで番組が進む。


「懐かしい…と言いたいところですが、

最近一緒にご飯食べました」


「え?バンク君とジーン君2人でですか?」


「はい」


「そうなんですね?ジーン君、

よく2人でお食事に?」


「はい、ドラマが終わってからの方が

食べに行く機会が多いですね…」


「あら、グク君、敵意剥き出しで可愛いですねー」


グク君の名前が出て横へと振り向くと

凄く怒った顔になっていた。


「…グク君とも今度行こうって話していた所です」


何故かしてもいない話をする僕。


「…そうです、食事や映画や遊園地、

沢山デートしようって話していた所です」


「そ…ぅです」


とりあえず合わせてくれてホッとしつつ

かなり怒り気味のグク君。

素直なグク君…だけど、どうしたんだろう。

本当にヤキモチとか……


「デートいいすね!ではクイズでーす!ジーン君、

前回のドラマのキスシーン覚えてるかな?

視聴者が選ぶBest3にも入っていましたが…

ドラマ全部でした回数は?」


「10!」


「ブー」


「13!」


「ブー」


「15!」


「ピンポーン!」


何度か間違え、何度目かの適当な数字で当たった。


「では更にボーナスクイズ!

今現在放送されているジーン君のドラマ、

放送された所までのキスシーンの回数は?」


「……えーと…」


「5回!」


「おー!ピンポーン!

グク君に助けられましたね!

…えっと、キスシーン、

このまま少ないんでしょうか?」


「どうでしょう?その辺も楽しみに…」


「少なくないです。

あと練習やプライベート(練習)でもしているので、

実質的の回数はとても多いです」


きちんと回数を覚えているグク君にも驚かされ、

実質的の回数を多いと言い出すグク君に

また驚かされる。


「え?!何、何のこと?」


「そうなんですね。ドラマよりも実質していると」


とても満足そうな笑顔の司会者とグク君。



2人が顔を向き合わせて笑っているから

僕はグク君の隣で、つられて笑うしかなかった。




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