scene.13
《Jiin.cut》
ベットシーンを撮り、僕が反応してしまった日の
翌々日。
昨日も今日も、とても眠い朝。
普段ならグク君と長電話しても
朝が割と強い僕ならこんなに眠くならないのに、
グク君と短めな電話を切ってから
何故か眠ても疲れが取れずにソワソワしていた。
「おはよーございます!」
眠い中フラフラと現場に入ると
元気なグク君に挨拶される。
「おはよー…」
昨日もベットシーンがどうとか、カワイイとか、
恥ずかしい事を口にするグク君。
「今日はベットシーン…」
朝からまたその言葉が出て来て
動揺してしまった。
「っ何っ!!」
「予定より撮影進めば撮れますね…って…
なんでそんな怒ってるんですか」
ホントなんで僕、怒ってるんだろう。
「……」
「カワイイ…」
「なんで!カワイイとか恥ずかしいな!
って怒ってないけど?!」
「…ベットシーン…」
「あー楽しみだなー!(棒読み)
グク君は上手だしー!
グク君に身を任せればいいしー!」
「え!僕からしたら
ジーンさんの演技が上手過ぎて(美味すぎて)
…目を泳がせたりとか、息遣いとか、
身体の動きとか…」
「チョーーっとグク君‼︎もう分かったよ!
恥ずかしいからそれ以上ね、
言わなくてね、いいからね…」
「…ジーンさんが僕を上手って言うから…」
次も反応しそうで不安だし、
反応しないようにって考えて演技なんてしたら
プロ根性が腐ってしまう気がする。
「どうしたの?何かあった?」
近くにいた監督が
心配そうに近づいて来た。
「…ベットシーン、
グク君は上手なのに僕の事を沢山褒めるので…」
「ジーンさんの演技が艶っぽくて…
監督だってそう思いますよね?」
「この前も2人完璧だった!って事で、
今日予定のベットシーンも確認してきて」
「はい!」
「…ぇ?」
「うん、そこの部屋で」
2人きりで確認…無反応でと願いながら
グク君に引かれて入った部屋。
「確認って言ってもね…
頭で考えられないんだもんね?
前回みたいに僕を好きだと思い混んで貰って
ガバァーっと来て!うん!(プロ意識プロ意識)」
「です…よね、じゃあ、」
急に抱きしめられてそのまま壁に押し付けられる。
「えっ?」
っと…声が出てしまったけれど
瞬時にこれが'台本通り'に
壁へ押し付けられている事に気付いた。
「…え?あれ…こういう流れですよね」
耳元で囁かれる声にもビックリしてしまう。
「あ、うん。チョットビックリしただけ」
「ぁ…すみません、じゃあ、」
これからが確認だとでも言うように、
さらに抑えつけてくるグク君。
さっきから僕の心臓が跳ね続ける。
「…って、こうなりますよね」
密着度高く、腕も押さえ付けられ…
首に顔を埋められた。
「で、ここで僕の顔は写りませんけど
ジーンさんの身体を弄るので…
ガバーっていうより、気持ち込めてやりますので」
「……ッ!もう!
本番は喋らないのに今は喋るから…
さっきから耳とか首とか擽ったいよ!」
「ぁ、ごめんなさ…」
顔を上げてきたグク君の顔…
間近に現れた大きな瞳が揺らいでいる。
グク君がビックリしたように見えた原因は…
僕の熱い頬?…相当真っ赤になっているのか。
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