scene.12
《Gkook.cut》
撮影が終わった。
ジーンさんへ、キスや体に触れる動きの撮影。
カットがかかったのに彼の上から退けれないのは、
何となくジーンさんが反応している気がするから…
それを確かめたいけど
そんな事出来ないって分かってる。
この先のジーンさんを見たいと思うけど、
それは恋人じゃないと許されない。
ドラマだけの恋人だから…
ってこんなジーンさんが目の前にいるのに生殺し…
「…えっと…」
照れながら何か伝えようと声を出したのか、
照れ隠しか、ジーンさんの唇が動いた。
けれどジーンさんの声をかき消すように
監督の大きな声が響く。
「良かったよー!
グク君がそれ程煽るような動きじゃないのが
余計良い!凄く愛情が伝わる!完璧!」
「ありがとうございます!」
監督に褒められて、
恥ずかしさもありジーンさんから離れた。
…そしてあんなジーンさんを
早く回収しなければ…
バタバタとスタッフが片付けをする中、
少しうわの空でベットに佇んでいるジーンさん。
僕はガウンを渡したくて声をかけた。
「ジーンさん…」
「わっ!あれ?…グク君戻って来たの?」
「コレ…でも、良ければ」
「ぁ……ありがとう」
ガウンをジーンさんの肩に掛け、
腕を引き、支えながらベットから立たせ
ゆっくり肩を支えながら着替えの部屋へ。
「……」
「…なんか…」
元気なさげに呟くジーンさん。
「…はい?」
「…いたたまれない…」
「えっ?…それは僕ですけど…」
肩を落としているジーンさんを
正面からそっと抱きしめた。
「…ぇ…なんでグク君が…
演技も、グク君上手いから褒められたじゃ…」
「ぁー…演技…というか、
僕のジーンさんへの気持ちを褒められたので…
恥ずかしいだけでしたけど…」
「?僕を好きだと思って演技してって言ったから、ほんとグク君は上手いし…
ムカつくくらいキスとか上手い」
「え…」
「思い出したらなんだかムカついてきた」
やっぱりコロコロ変わる…
落ち込んでたと思ったら褒められて…
そして怒り出した…全てカワイ過ぎる…
「…カワイイ…」
「…え?!…何か言った?!」
何故か今にも殴られそうな気がして
抱きしめる腕を強くしてしまう。
「いえ!何も!
次のベットシーンはもっと激しくなりそうです!」
…ジーンさんの表情は見えなくなったけど
抱きしめてる僕から逃げるような抵抗は、
暫く腕を強くしていたから許さなかった。
《俳優仲間A.cut》
朝、現場へ入ると
珍しく眠気なんて感じない元気なグク君がいた。
逆に眠そうに現れるジーンさんへ
みんなが挨拶をし、グク君も元気に声をかけた。
「おはよーございます!」
「おはよー…」
「今日はベットシーン…」
「っ何っ!」
眠そうだったジーンさんが
グク君の言葉に大きな反応。
…ベットシーンって聞こえたような…
確か僕達他の俳優が帰った後、
主演2人はベットシーンを撮っていたはず。
「ベットシーン無いですね…って言おうと…
……カワ…」
「っ何っ!!」
またグク君の言葉に反応して、
明らかに怒っている。
プライベートで、しかも仕事仲間に
怒っている所なんて初めて見た。
昨日のベットシーン、いったい何が…
って大体想像つくか…
グク君がニヤニヤ笑いながらジーンさんを見つめ、
ジーンさんも怒ったり照れたりして見つめてるから
まぁ…
このまま楽しい雰囲気で
良い現場でいてくれればと思う。
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