scene.10
《Gkook.cut》
ジーンさんへ電話していいと確認したけれど、
かける前のソワソワは相変わらず。
しかも今日は、今現在、まだバンクさんと
一緒かも知れない…
酒の力も借りようかとビールを少し飲んだけど
酔えずに胸は騒ついたまま。
今…もし一緒にいたらそれはそれで…
僕は電話しなきゃだろ…
勢いをつけて、通話ボタンを押した。
『もしもし』
「ぁ、今大丈夫ですか」
『うん。ちょうど寝る準備出来たところー。
グク君にこっちからかけちゃおうかと
思ってたぐらいー』
「ぇ、あ、お待たせしました」
『いや?大丈夫だよ』
いつもの感じ。
明るい声だし、笑いながら話してる。
本当に緊張して胸に手を当てながら電話したし、
今はリアルに胸を撫でている。
「…かけて来てくれたら、凄く嬉しいですけど」
『ぇー?なんかいつも長話しちゃうから、
朝弱いグク君に悪いなって…最近も我慢…』
「我慢…?してたんですか⁈」
『ぁーうん。
寝る前、なんか人恋しい時あったけど…
なんか我慢を…』
「そういう時は是非…
僕こそいつもじゃ悪いかなって我慢してました」
『気にしなくていいよー。嫌な時は切るから』
「えっ切られるんですか」
『フフッ…多分』
「…ジーンさん酔ってます?」
凄くご機嫌なのは良いけど…
その理由がバンクさんと会っていたからとかでは
ありませんように…
『少し飲んだけど酔ってはないよー。
あ、何か相談?』
「えっと……」
用が無いとかけちゃダメですか…って
言ったらマズイかな…
『…何か…グク君って演技、
みるみる上手くなってるよね。…キスとかも…
なんか僕もボーっとしてられないな』
「…ありがとうございます?」
『なんかキスの練習とか…
実際、僕がしてたのかなって…
最近全然だから仕事でしかしてなかったし』
…'仕事でしか'……また胸を撫で下ろしてる。
『…明日はベットシーンの撮影だね。
…ぁーグク君、上手いんだろうなー』
「そんな…プレッシャーかけないで下さ…」
『その事で相談なのかな?』
「いえ……バンクさんと
ずっと一緒にいるのか気になって…」
『バンクと何か話したかった?』
「違います!えっと、
朝までバンクさんと一緒だったら凄く嫌だなと…」
『ぁ、そういう心配…』
「です」
『明日も撮影なのに朝まで飲まないよー』
「…朝まで飲まなくても、
朝まで一緒にたら……嫌だなと」
『…?朝まで一緒に?寝たり?えっ…あぁ…』
「はい、一緒に寝たり…」
『…えっと、まぁ……なんか嬉しい』
「?」
『そういう心配って…』
ポツポツと話すジーンさんの顔を思い浮かべる。
…照れてるような顔だろうし、
赤くなってるかも。
…僕は、
鏡を見なくても自分で赤くなってるのがわかる。
「明日…僕、頑張ります」
『…うん…頑張ろうね』
「……」
『じゃあ……おやすみね、グク君」
「あ……えっと……」
そして僕は、くだらない話を繰り返して、
ジーンさんの笑う息遣いを感じながら
眠るのを引きとめてしまうんだ。
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