太宰治「葉桜と魔笛」をサブテーマに据えた本作。
作品の解釈は読者による所が大きい太宰の作品を引用し、それをどう捉えるかで人生の捉え方も変わっていくという例を、作者は物語として見出しました。
「葉桜と魔笛」の内容を知らなくても大丈夫です。私も恥ずかしながら未読でしたが、作中でどんなお話なのか簡単に説明があります。その後に人物の描写があり、仕掛けがあり……「あ、これは関係のあるテーマなんだ」と推測ができます。
人生が交差する瞬間、自分ならどうするか、そういう投げかけを貰ったように思います。
端正で読みやすい筆致で語られる、教師と生徒の物語を是非、どうぞ。
おすすめです。
以上が一読者としてのコメントですが、本作は企画参加作品でもあります。
企画に与えられた課題を高度に、それもごくごく自然に取り入れており、サブテーマが持つ説得感がしっかりと生徒に染み渡っていく過程が実に見事。読者に残る印象も良く、まるで物語を通じて葉太先生から教えを貰ったような気分になります。
企画主として推薦したい作品でもありました。