第20話

 次の日もおじさんはいなかった。

 海の家の店番をして、海のごみを拾っていた。

 

 いままでには見なかった茶色と緑色の海藻が海岸沿いに打ち上げられて堆積していた。海に一歩踏み出すたび、足元に、ぐにゅっとした音がして気持ち悪かった。私は、それをビニール袋に詰めて何往復もして、ごみ箱に捨てた。海がよどんで、その海藻がなくなっても澄み渡るようなことはなかった。


 汗と海水で服が体に張り付いた。海水にさらされた髪の毛がきしきしと音を立てた。海から出した、上半身にそよ風が噴いた。誰もいない、海岸にきらめいているゆうひがきれいだった。

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