第18話

 目を覚ますと、今日はおにぎりが三つ、紙皿のうえに置かれていた。サケと梅と昆布。


 おじさんがいなくなっていた。どこを探してもいなかった。海に出たのかと思って気づかないふりをして、一日を過ごしていたけど夜になってもおじさんは帰ってこなかった。


 ごみがいつもより、多いように感じられた。いつもより人の声が大きいような気がした。いつもより、多くの人が海に来ている気がした。いつもより、みんなが楽しそうな気がした。


 いつもより、海が汚いように見えた。楽しそうな人々が、汚れていくのをただ眺めていた。それでも、みんな楽しそうだった。そんなこと、どうでもいいのか。それとも、気づかないふりをしているのだろうか。

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