第14話
次の朝、目を覚ますとおじさんが焼きおにぎりを作っていた。しょうゆのいい香りが鼻孔をくすぐった。
いつものようにごみを拾っていると、一匹のカメが流れ着いて砂浜の上でじっとしていた。私は、海の家に戻っておじさんのしゃつを引っ張ってその亀のところまで連れて行った。おじさんはつついたり持ち上げたりしてみていたけれど、
「ああ、こいつはだめだな」そう言って肩にのっけて海の家へ引き返した。
「ほらみてみろよ」そう言っておじさんが指さしたカメのおなかの中には、たくさんのごみが詰まっていた。
「あ~あ、お前がちゃんとごみを拾わないから」おじさんはそう言って私のほうを見た。
「うん。ごめんなさい」そう私が言うと、おじさんは何も言わずに私を見て、それからカメに向き直ると、
「こいつを展示にして、こういう被害が出てますよってごみを捨てるやつらに見せてやるか」と、そう言った。
お店の裏のカメのお墓は私が貝で飾りつけした。私は恥ずかしくなって泣いた。
「私の新しい恥ずかしいことがみんなにばれるようなことしないで」と泣いたことが恥ずかしかった。
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