第10話

 目を覚ますと、机の上に卵かけご飯が乗っていた。

 「ほら、早く食って、働けよ。今日はちょっと忙しい」そう言ってみせの外へと歩き出した。私は流し込むようにして、おいしいおいしい卵かけご飯を食べて、おじさんを追いかけた。


 「今日は、お前はここでウィンドサーフィンの手入れを手伝え」そう言って連れてこられたところにはいくつもの蛇口とシャワーが供えられた広場があった。


 そこにはいくつものセミの羽の片っぽのようなウィンドサーフィンの帆が並べられていた。

 「お前はこれをひたすら洗え」

 そう言っておじさんは私の麦藁帽を揺らして去っていった。


 海水に浸った帆は塩辛いにおいがして、臭かった。


 「お嬢ちゃん、手伝ってくれるのか」そう言って、みんな喜んでくれた。中にはジュースをおごってくれる人もいた。


 「あの、汚い海になんできたの?」一人の男性にそう聞いてみた。

 「ウィンドサーフィンだからあんまり関係ないんだよ。海ならそれでいい」

 「なんでウィンドサーフィンをやろうと思ったの?」

 「海にいると自分がとっても小さく思えるんだ」

 「小さいことがうれしいの?」




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