第5話

 さあ、ここまで話すと夏休みを利用して、人助けをしながらダイエットでもしたいのかと思われているかもしれないが、私がしたいのはそうではない。


 レジのベンチからじっとこちらを見ているおじさんに私は聞いた。

 「ねえ、私ってひつよう?」

 「…あんまり、必要ないな」

 ぷかぷかと海に浮いている浮き輪の少年は楽しそうだった。

 「親に必要ないとか言われたのか。まあ、いい。そういう奴は今までたくさんここに来た。帰りたくなった時に帰ればいいさ」そう言っておじさんは新聞をかぶって寝始めた。


 親に必要ないといわれたことはない、…と思う。邪魔、ほかのことやってて、みたいなことは、多分言われているけど、そんなに気にすることじゃない、っていうことがわかる感じでいうから気にしたことはない。


 おじさんが寝ている間、店番をして過ごした。だんだんと人が減り、日が沈んだ。おじさんは起きて、私をちらっと見た後、海の家のシャッターをおろした。遠くから車のエンジン音が聞こえた気がした。

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