第42話妹とスポーツ

「お兄ちゃん! 運動をしましょう!」


 妹が思いつきで提案する。


「で、今度はなにを見て思いついたんだ?」


「そりゃあWWDCのライブでwatchOSが更新され……ってそんなことどうでもいいじゃないですか!」


 相変わらず影響を受けやすいやつだ……

 とはいえ運動不足なのも確かなので提案に乗るか……


「で、なにをやるんだ?」


「はい、とりあえずジョギングから始めようかと」


「いいんちゃう?」


「もちろんお兄ちゃんもやるんですよ?」


 そうでした……


「どの位走る予定なんだ?」


「皇居ランナーが一周五キロだそうなのでそれに習おうかと」


 五キロ……正気だろうか? インドア系の俺にはあまりにキツい。


「なあ、もうちょっと少なく……」


「ダメですよー、お兄ちゃん運動不足でしょう?」


 確かに俺は最近運動はしていないだからって、いやだからこそ五キロはキツい。


 そういうわけで俺は妹にApple Watchをもらって運動するハメになった。


「ぜぇ……ぜぇ……、なんでお前平気な顔してんの?」


 俺は妹に聞く。


 妹はもう二キロくらい走ってるのに涼しい顔だ。


「鍛えてますから」


 それで済まされるのはどっかの鬼だけだぞ……


「本当お兄ちゃん体力ないですねえ……」


「やかましい、オタクは体力にステ振りしてないんだよ」


 INT極振りだからな……しょうがないね。


「はぁ……しょうがないお兄ちゃんですね」


 妹は走るペースを落として俺に合わせてくれた。


「ま、お兄ちゃんとお話ししながらなら楽しいですね」


 妹は少し呆れながらも一応は俺といるのが楽しいそうだ、全く自慢の妹だよ……


「きゃ!」

 妹が段差に躓いて転ぶ。

「大丈夫か?」

「大丈夫……痛た……」


 しゃーないなあ……


「ほら、乗れ」

 妹がポカンとしている。

「ええと、それは所謂おんぶというやつでは……」


「他に何があるんだよ、怪我したまま走らせるわけにもいかないだろ?」


 背中に重みがかかる、手が首に巻かれる。


「ふえええ……いいですねえ……」


 何やら聞こえるが無視して俺は家路を急ぐ。


「お兄ちゃん……また付き合ってくれますか」


 俺は一言答えた。

「お望みのとおりに……」

 

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