第10話妹は謎部活を作りたいようです
「お兄ちゃん! 部活をしましょう!」
妹が謎の提案をしてくる、一応同じ高校ではあるし二年と一年なので一応部活は作れる。
「何でまた急に?」
「お兄ちゃんの部屋の本を読んで研究したところ謎の部活をしている作品が多かったので、これは押さえておくべきかなと」
そうかそうか……ん?
「なんで俺の部屋のマンガ知ってんの?」
コイツはちゃんとノックしてから部屋に入ってくるが部屋を深く観察しているわけでもないし、マンガを貸したことも無い」
「私、一目見たものは覚えられるんで、背表紙見て買い集めました」
「何それ怖っ……」
なに? 背表紙からタイトル全部覚えてしかも買いそろえたの? 普通に怖いんですけど。
「まあまあ、細かいことはいいじゃないですか。それで部活ですけど……」
「やだ」
えー……と不満げに妹は露骨に残念な顔をする。
「いいじゃないですか! せっかくだから青春しましょうよ!」
って言ってもなあ……
「大体マンガ読んだらそれで満足するんだよな、謎部活って実際作りづらいし……」
ついでに言うなら大体のテーマはやり尽くされた感がある、軽音楽はもちろんネトゲから木工ボンドまでカバーしている。木工ボンドってなんだ?
「じゃあお兄ちゃん部で! 妹活動をする部活でどうです!」
どうですもクソもねえよ! 一体何をする部だよ!
「それ部活にする必要ある? 俺ら普通に兄妹じゃん?」
むうと不服そうだがド正論なので反論に困っているようだ。
「じゃあ……自作PC部は? お兄ちゃんの部屋にありましたよ! そういうマンガ!」
アレは大学が舞台なんだが……ついでに言うとマンガではないカテゴリだったりする。
「普通にそんな金食い虫の部活認められるわけないだろう、オーバークロックのために液体ヘリウムが部費で買えると思うか?」
そんなことができれば他の部からものすごいヘイトを稼ぐことになるだろう、というかCPUすら買える部費が出るとは到底思えない。
「むむむ……だって学校でもお兄ちゃんともっと一緒にいたいじゃないですか! もっとこう……友人知人に知らしめたいじゃないですか! 二人の関係を! 爛れた関係を!」
二回言ったが俺たちの関係は健全です。
「そんなこと言ってもなあ……だいたい毎回十分しかなかろうが休み時間に俺の教室に来るからもうすでに思いっきり有名人だぞお前」
「え?」
自覚はなかったらしい、贔屓目抜きに可愛いので凄く目立っている。
入学して早々俺の教室に突撃してから休み時間の風物詩扱いされていたりする。
「そうですか……二人の関係が……世界的に有名……ぐへへ」
世界的とは一言も言ってないんだが……
「そういうわけだから今更新しい部活は要らないと思うぞ、ついでに言うとお前が部活作ったらお前目当てに結構部員集まりそうだな」
「へ? 私目当て?」
自覚はないらしい。
「まあ可愛いしな、俺みたいなモブが追い出されて最終的にお前がサークラする未来が見えるようだ……」
妹の顔が驚きで表情を無くす。
「……って、お兄ちゃんがいないと何の意味もないじゃないですか! お兄ちゃんは私を捨てるんですか!」
「いや……だって俺オタサーの姫を祭り上げるのって苦手だし……」
中学時代に壮絶に空中分解した某サークルがあった……嫌な事件だったね……
「しょうがないですね! じゃあもっと二人の関係を主張していくスタイルで行きましょうか」
何がしょうがないのか知らないが納得はしたようだ。
「じゃあお兄ちゃん! 明日から手を組んで登校始めますよ!」
俺の高校生活に彼女の二文字がなくなった瞬間だった。
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