第3話妹とお勉強

「おにいちゃ~~ん、たすけて!」


 何やらうちの妹様が俺の部屋に入ってくる、もう要件も予想がついているのでさっさと本題に入る。


「で、どの問題が分かんないんだ?」


 そう、うちに妹は勉強ができない、俺は可愛ければいいんじゃない? と思っているのだが世間一般では勉強ができないのはよくないことらしい。


 俺が一生面倒を見れば別に勉強ができる必要は無いんじゃないかと思うんだけどなぁ……


「お兄ちゃん! ここですここ! なんで0.9999....が1になるんですか? おかしいでしょう!」


 ああ、有理数と無理数はめんどくさいよな……


「10かけてそれから0.9999...を引いてみ?」


「ええっと10Xが9.9999....でそれから引くと……あれ9X=9になった!」


「9で割るとX=1だろ、そういうことだ」


 妹は顔を輝かせて俺を見る、実際のところ泥臭い暗記と演習で覚えたのでそんな天才を見るような目で見られると少し気まずい。


「お兄ちゃんはすごいです! やっぱりお兄ちゃんにきくのが一番ですね!」


「褒めても何も出ないぞ」


「はーい、でもお兄ちゃんに養ってもらいたいですねえ……」


 そう、うちは兄妹ともに結構ダメ人間だったりする、いや、自分ではそうではないと思うんだけどね。


「はいはい、ちゃんと面倒は見てやるから安心しろ」


 ぶっちゃけ妹に彼氏とかで来て欲しくない、マジ天使な俺の妹が愛おしい。

 シスコン? 何が悪いって言うんだ?


「ねえお兄ちゃん、進学してもちゃんと私の勉強見てくれますか?」


「なんだよ、当たり前じゃん」


 当然のことを何故きくのだろう?

 兄は妹を教え導くもの古来より決まっているのだ。


「ふ~ん……ねえねえ、もし私がずっと勉強してたらずっと見てくれるの?」


「俺ができる範囲でだがな、大人になっても勉強するのは悪いことじゃない」


「そう言うことを言ってるんじゃ……」


「なんだ?」


 何やら言おうとしていたようだが答えは返ってこなかった。


「じゃあお兄ちゃん! 勉強見てね! 明日も! あさっても! そのまた次もね!」


「任せろ」


 部屋から出て行くときに少し振り返って笑顔でこう言った。


「大好きだよ」


 その言葉を俺はどう受け取るべきかは分からなかったが悪い気はしなかった。

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