第2話デートはやっぱり遊園地だよね


 俺は今、妹とデートをしている……それ自体は何も問題ない話だ、仲の良い兄妹ならよくあることだろう、ただ……


「うげえ……人が……多い」


 ダメ人間たる俺には日曜日の遊園地などというリア充の集る地への遠征は非常に辛いものがある、妹の誘いでなければ絶対に来ない場所だ。


「……さん! 兄さん!」


 強く呼びかけられて呼ばれていたことに気付く、周囲の人混みに当てられて体調不良になっていた俺には妹の声は心地よい。


「なんんだ?」


 心配そうに俺の顔を除いてくる、ドキドキするのだが……


「兄さん……無理してます?」


「無理なんかしてるわけないだろ、お前からの誘いだぞ」


「そういう問題ですか……いえ、兄さんに無理をさせてたなら申し訳ないなあと……兄さんあんまり人の多いとこ行かないですし、ちょっと大変だったかなと」


 流石俺の妹、俺のことをよく分かっていらっしゃる、しかし兄たるもの弱音は吐かないのだ。


「全く問題ないぞ、むしろ遊び足りないくらいだ」


 妹はぱあっと顔を輝かせて俺に提案してくる。


「じゃあアレ乗りましょうアレ、遊園地といえばアレでしょ!」


 そういう妹の指さす先には……ジェットコースターがあった……

 あれは……しかし妹の提案な訳で……


「分かった、いくか」


 俺は覚悟を決めて行列に並んだ。

 いつもなら待つのは嫌いだがジェットコースターは人気があるらしく人がたくさん並んでいて俺に覚悟を決める時間を与えてくれた。


「じゃ、乗りましょう!」


 無情にも行列は閉園時間よりも早く終わってしまったので俺も覚悟して乗り込む。

 保護バーがおろされゆっくりと動き出す……


――しばらくして


「兄さん……怖かったですよぅ……二度と乗りたくないです……」


 俺よりコイツの方が先にダウンしていた。

 乗る前の元気はどこへやら、今はすっかりダウンしている。


「災難だったな、もう帰るか?」


 そういうと必死に首を振る。


「いえいえいえ! 兄さんがせっかく一緒に来てくれたのに予定より早く切り上げるなんてあり得ません! もっと乗りますよー! うぇっぷ……」


「ほらみろ、また時間は作ってやるから無理すんな」


 コイツはとてもくさしそうに言う。


「じゃ、じゃあせめて観覧車だけ……」


「しょうがないな……」


 カップルの定番観覧車だ、仲の良い兄妹にも定番だ、ソースはラノベ。


 こちらはさっきまで妹を介抱していたので大分人が減る時間になったせいだろう、それほど人がいなかった。


 ガチャリ

 バタン


 あっさりと観覧車に乗ってだんだんとゴンドラが上がっていく、なぜか妹の顔は真っ赤だ。


「これ、乗りたかったのか?」


 顔が赤いのはさっきまでのジェットコースターの後遺症だろうか?


「そりゃあもう! 恋人の定番! ここで告白するカップルが非常に多いとか、これはもう兄さんと乗るしかないでしょう!」


「そう……だな……」


 俺たちは血を分けた兄妹、まあそういうことだ、世の中はままならないものだ。

 しかし法律上が何であれ俺たちは確かに愛情を持っている、それが兄妹愛であるかは未だ結論をモテていない。


「ねえ……兄さん……また、来れますよね?」


 少し悲しそうに言う、そんな心配は全く不要だというのに。


「当たり前だろ、お前が希なら難度だってくるさ」


「やっぱり兄さんは私の兄さんですね!」


 しょうがない物を見る目で俺を見ながらこの妹は微笑んでいた。

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