夏祭り

ずっと空を眺めていた

窓辺から差し込む光は眩しくて

飛行機雲は枠の外まで広がり

知らないところまで運ぶようだ

僕は指一本動かすことも出来ず

薄暗く消毒の匂いが充満する病床につき

生き永らえていた

誰かが付けたテレビが

思いでの恋について街頭インタビューしていた

嗚呼そうか

自由に動けるのなら

恋だって出来るのか

目を閉じれば

シャンシャンと       

お囃子を歌う笛が夏の終わりを告げている

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透明な自分 星守 灯夜 @stargazer_w

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