第12話 道が迷子になっているんです

 セーフティーエリアから出て手当たり次第に探索していたらいつの間にか迷ってしまった。


「しょうがないよな…同じような道ばっかりだから」


 と誰もいないのにバツが悪く言い訳をする。

 しかし言い訳をしてみても迷っている状況は変わらない。


 せめて元の道に戻ろうとしてみるもさらに迷うということをさっきから繰り返していた。


 このゲームに親切で詳しいマップはなく、あるとしてもミミズが張ったような線で描かれた到底地図とは言えない品物だ。


 ゆえに自分の方向感覚だけが頼りである。


 こういうところがプレイヤーが離れる原因となっているのではないか

 これもリアルを追求しすぎるあまりの弊害の一つであると愚痴を言っても状況は変わらない。


 この都市には『あれ』がある。それは間違いない。


 それなのにどれだけ探しても『あれ』についての情報が一文字もない。


 というかそもそも本の類がない。


 嫌がらせかと考えるが逆にそれだけ厳重に隠しているという見方もできる。


 『あれ』は神にとって有効打になりうる存在。

 そう簡単に見つかっては神もたまらないだろう。


 しかしこのまま当てなく歩き回っていても永遠に見つからないのは確かだ。


 けれど、どこを探せばいいのか、それが問題であった。


 何かヒントになるようなものはないのかと乱暴に扉を開け、机や棚をひっくり返すが無駄であった。


 これではいかんと肩で大きく深呼吸する。


 落ち着こう、冷静になって考えてみよう。

 いや考えるというか勘を研ぎ澄ますといったほうが正解であろう。


 この段階になったら山勘が必要だと半ば自暴自棄になりながら、城の地下へと向かうことを決めた。意外にこういうのは地下にあるんじゃないかな、たぶん、恐らく、いやそうであってほしい。祈りながら地下へと向かう。

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