第48話 幕間
時は現在に戻る。
ムチャが目を開けると、そこには先程と変わらぬ星空が浮かんでいた。
「なぁ、ケンセイ元気にしてるかな」
「きっと元気だよ。だって、ケンセイさんだもん」
「そうだな」
二人は、もしかしたら同じ星空を見上げているかもしれないケンセイに想いを馳せた。
「ねぇ、ムチャ」
「なんだ、トロン?」
「私ね、ムチャと旅に出られて本当に良かった。私を連れ出してくれて、私に名前をくれて、本当にありがとう」
「な、なんだよ今更」
ムチャがトロンの方に顔を向けると、トロンはいつも通りトロンとした目でムチャを見ていた。それを見たムチャの顔はなぜか熱を帯び、赤くなってしまう。
「べ、別に猫の子を拾ったようなもんだよ! お礼なんているか!」
「それでも嬉しかったにゃーん」
「うるせぇバカ! もう寝ろ!」
「寝るにゃーご」
二人は再び空を見上げ、目を閉じる。
明日は二人にどんな旅が待っているのだろうか。
そして、次のステージはどんなステージであろうか。
すると、ムチャがふと思い出したようにこんな事を言い出した。
「でもさぁ、俺の親父って何者だったんだろうな」
「……え?」
「だってさ、ケンセイと何度も剣を交えたって事は、きっと強かったんだぜ。って事は、その血を継いでる俺にも凄い力があるかもしれないって事だろ? どんな人だったのか、もっと詳しく聞いとけば良かったなぁ」
「……えぇー」
トロンは、呆れて開いた口が塞がらなかった。そして
『私もある意味ムチャのお父さんの血を引いてるんだけど』
とは、言えなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます