第74話 異常な襲来

「レディウスに異常反応! 各部隊は防衛体制を! 特に市中の安全を優先せよ! 市民たちにすぐに知らせるよう!」

「はっ!」

 町の周りにはゾジェイが次々と集結していた。


 このようなことは、これまでも何度でもあった。

 ゾジェイ連中は、人間たちの持っている食料、衣服、資材などを狙ってしょっちゅう出没していた。

 町の商店は常に標的にされているから、まずはそこを守るのが鉄則。

 商店の人々も、うちが狙われるのではないかと、商品を家に隠したり、衛兵に守ってもらったり、準備をぬかりなく行っていた。

「ふん、来るならこい! お前らはどうせカルザーナ様に追っ払らわれるだけだろ!」

 みな、そう思っていた。


 ところが。


 ゾジェイ連中は、いつまでたっても街中に現れない。


「へっへっへっ、あいつら、あんなに大勢で来たくせに、カルザーナ様が怖くなって逃げたのか!? ……ん?」

 そのとき、大きな音とともに、壁が崩れる音がした、カルザーナの邸宅のほうだった。

 集まっていたゾジェイが、全員大挙してそちらに向かっている。

「カルザーナを殺せ!」

 人間の言葉を話せるゾジェイの中に、そう叫ぶものもいた。



 一方、一旦は帰ったイサキスとアシジーモはザガリスタに再び向かっていた。

「何だろう、カル様、手紙を送ってきたけど、大事な要件だから集まってから話す、って」

「俺らが勝手に帰ったからって、お説教かなんかだろ」


 二人がザガリスタに着くと、いつも押し問答になっている門番が、いない。そして町中が騒がしい。

「おい! なんだあれ!」


 カルザーナの邸宅を見ると、投石だろうか、魔法だろうか、穴があけられている。そこからゾジェイが中に侵入しているのが見えた。


「大変だ! カル様が……」イサキスは声をあげ、邸宅へと向かった

「イサキス、やめろ! お前が助けられるとでも思うのか」

 アシジーモが止めようとしたその時、ゾジェイの何匹かが振り向いた。


「おほーっ、アイツらも来てくれたか、こりゃー手間が省けたぜ。……やろうども、やっちまえ!」

 といって、2人のほうに襲い掛かってきた。


「まずいぞイサキス! ここはとりあえず逃げるんだ!」

「ダメだよ! カル様をほっといて逃げるわけにはいかない!」

 イサキスは邸宅の裏手の方へ駆け出して行った。

「おい、どこへ行く!」

 アシジーモも後を追った。


「アシジーモ、イサキス、待ちやがれ!」

 後ろからは、ゾジェイが迫ってきていた。

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