第48話 半透明で、宙に浮く

「みなのもの、ごくろおであった!」

 まもラボに帰ってきたら、へびひめあたまのやつそんなことを抜かしよる。やっぱり姫気取りだった。


「おい、俺たちが頑張って竃を設置している間、へびめたは何をやってたんだ」

「略し方! あと竃じゃないし! あたしだってちゃんと仕事してるんよ、ほら、次のカマ……リークデバイスを作り始めたんよ」

 近くに、また同じ大きさのモノが作りかけてあった。


「ああそうか、あと2つは設置しなければならないか……大体どれくらいかかるんだ?」

「そおねえ、1個あたり13日くらいかな?」

「え、じゃあ2個で26日? そんなに待てるかよ……なんでそんなにかかるんだ?」


「これだ」デウザが作りかけのリークデバイスの一部を持ってきた。

「なんだこれ?」

 見ると、小さな棒がついていて、上下に動かせて、動かせるとパチンと音が出る……ええと、スイッチね、そう、スイッチが24個横に並んでいる箱がある。24個は「ADDR」と書かれた16個のグループと「DAT」と書かれた8個のグループに分けられているようだ。それらの隣には「WRT」と書かれた、例の指の太さ大の押せそうなもの。ADDRグループには15から0の番号が、DATグループには7から0の番号が。なんで逆順なんだ? なんで1から16とかじゃないんだ?


「これを使ってだな、書き込むんだ」

「何を?」

 これ以上言うと、ほんとに世界観が台無しになるから、読者の皆さんには、呪文のようなもの、とだけいっておこう。


 で、その呪文を、約3万2千……ええといくつだっけ? とにかく「約」がついているくせに、やたら細かい数字を言われたのが、忘れた。それくらいの個数を書き込まなければならないそうだ。しかも1個書き込むたびに、さっきのスイッチをパチパチいじって、WRTを押す、という作業をするらしい。


「まじか……気の遠くなる話だ」

「ちょうど人手も足りなかったことだし、カギン、お前やれ」とデウザが押し付けてきた。

 えーー、勘弁してくれー


 と思ったとき、バウザスがトゴリーティスを使って話しかけてきた。

「kore wo tsukae 」

 え、「ore wo tsukae」? バウザスやってくれんのか?

「yarukayo!」違うようだ。

 バウザスがトゴリーティスを手渡してきた。あ、トゴリーティスを使えってこと? どうやって?

 バウザスは続いて、俺が持っていたスライタスの杖を指した。


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 T-word

 T-calc

 T-music

 Format

 Backup

 Auto-Start

 mon


 ああ、なんか以前、第16話あたりで見たことがある。やな思い出も蘇った。たしかこのメニウが出た後、マジック・ローダーの皆さんが青ざめて、俺を追放したんだっけ? 何でだ? いまだにわからん。


 え、それの? 一番下? 「mon」?


 すると、何かいつも、バウザスと話すときに使っているのに似ていて、ちょっと違う表示になった。なんか打てる文字の数が少ない。0から9と、あとAからFまで? なんでそんな中途半端なんだ?


「うおお、これは!」とデウザが驚いたようだ。

「これなら、もっと速く書き込めるぞ!」

 えええ、なんでなんで?

「よし、今日のところはこれくらいにして、ゆっくり休んでいけ!」

 そうなの? まあいいや助かった。


 まもラボの中には簡易宿泊所もあって、横になることもできた。なんか軽食みたいなものを採れる場所もあった。


 翌日。


「さあ、がんばって書き込んでくれ」

 といって、デウザはなんか本を取り出してきた。



 4000: 41 42 10 40 00 00 00 00

 4008: 00 00 00 00 00 00 00 00

 4010: 3E 23 06 62 21 22 40 7E

 4018: AD CD 18 00 23 10 F8 76

 4020: 18 FD 71 53 41 46 4F 46

 4028: 44 09 5E 43 4D 43 45 5C

 4030: 10 45 5D 13 59 4C 16 51

 4038: 59 4F 55 49 55 49 5B 1F

 4040: 27 20 2F 26 37 69 66 22

 4048: 3B 39 2F 28 25 2C 22 23

 4050: 29 71 0B 74 27 79 76 1F

 4058: 01 1D 16 12 18 18 72 7F

 4060: 2D 24 36 22 28 45 21 22

 4068: 29 3B 46 4B 3F 2C 22 2E

 4070: 3D 30 30 37 31 27 56 16

 4078: 16 1D 5A 3C 2E 3C 3A 36

 4080: D5 D2 A2 B1 ……



 なんじゃこりゃー

「まずお前のトゴリーティスと、リークデバイスを接続ペアリングしてだ、さっきのmonを起動し……」

 えええ、この字を延々と打っていくのかー?

「贅沢いうな、トゴリーティスがなかったら、例えばな、最初の41を書くだけでも、スイッチを全部いじってWRTを押す……を延々とするんだ、それよりぜんぜんマシだ、1日もあればイケるんじゃないか?」

 うえー、しょうがない、地道にいれていくかー、


 よん、いち、よん、にー、いち、ぜろ、よん、ぜろ、ぜろ……


「がんばれー」

 へびあたま仕事しろ。

「あたしはねー、朝のあいさつでもしてこよおー」

 え? 誰に?

 0を大量に打ち込みながら(多少離れても打ち込めるらしい)ついて行ってみると、なんかもっと仰々しい機械があった。なんか背の高さより高い円筒形みたいなもの。あ、へびあたまがそのまま中に入っていった。


「なんだよ、これ?」

「ふふふー、これはね、ホザログラフ! これで、半透明とおめえで、宙に浮けるんよー」

 なるほどわからん。

「えーと、多分このへんにいるかなー」

 だから誰が?

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