第47話 Magic Loaderの魔法自慢

「サーイ様、僕に呪胎してほしい魔法があったら何でもどうぞ!」

 とイサキスが前のめりに詰め寄ってくるので、とりあえず、

「え、えーと、じゃあ……さっき、サガムを使いすぎてしまったので……お願い……できますか?」

 と言ったら、イサキスは額に手をぴしゃりと当てて

「あちゃー、ごめんなさい、僕、攻撃魔法の呪胎はからっきしなんですよねー」

「そ、そうなん……ですか?」


「ええと、でも僕は、他のマジック・ローダーにはできない、珍しい魔法をいっぱい呪胎できますから、その一部をお見せしましょうか!」

 といって、イサキスはいろいろ杖を取り出してきた。

「これは、オクレール! 他の魔法と一緒に使うと、その魔法が遅れて発動するんです! あまり速く攻撃したくないときに便利です!」

「これは、ハネカエール! 相手の魔法攻撃を回復魔法に変換して跳ね返し、回復します! 相手が! あまり敵をやっつけたくないときに便利です!」

「これは、ダイブーツ! 体が重くなって、ゆっくり動くようになります! 魔法が解けたときの身軽さは格別です!」

「これは、カーエリタイ! 町にすぐ戻れます! 副作用として、持っていたお金が半分になります!」

「これは、オフトゥン! 眠らせます! 自分を! 戦闘中に体力を回復したいときにもってこいです!」

 ……そうでなくてももう疲れて眠いんだ、と思ったサーイは、


「ごめんなさい、とりあえず、明日にしてもらってもいいですか?」

 と遠回しに言ってみたが、

「あ、いやいや、最後にこれだけはご紹介しておきます!」

 といって、杖をさらに2本出してきた。


「じゃーん! これは、ツェデといって、1本の杖でたくさんの魔法が使えるすぐれもの!」

「……え?」

「例えば、僕が右手に持っているこちらの杖、フィリスタ対物理防御マルリスタ対魔法防御スタロマス疲労回復レジム外傷回復が4つも入っているんです! お得でしょう!」

「……でも、これのどれが発動されるんですか?」

「おおお、いい質問ですねー、そこで、もう1本のツェデの出番です。左手のこれを発動させると、どの魔法にするか選択できるんです」

「どの魔法が選択されているか、わかるんですか?」

「わぉ! タイムリーな質問ですね。実は、つい先日、それがわかるように改良したんです。ちょっと手に取ってみてください」

 といって、イサキスはサーイに2本の杖を渡した。

 4つの魔法が呪胎された杖に向かって、もう片方のツェデの杖を発動させると、杖が一瞬、赤く光った。発動させるたび、黄→緑→青と光って、また赤にもどった。


「つまり、この色でどの魔法なのかを判別すればいいんですね」

「まさしくその通り!」

「私、これ、欲しかったんです……ただ……」

「ただ?」

「できれば、攻撃魔法を4つ入れてもらえればいいんですが……」

 イサキスはまた額に手をぴしゃりと当てて、

「ですよねー、わかりました。明日、僕の尊敬する方のところに向かいましょう! 今日はゆっくりお休みください!」

 と言われて、この日はイサキスの家で寝泊まりした。

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