episode6「妖術」

 翌日よく寝たフーニャ達を叩き起こし俺は早速特訓を始めようとするもティアと堕鬼に阻まれる。


「ちょっと待ちなさいよ、フーニャちゃんはまだ幼すぎるわ。こんなころから武術や魔法の特訓なんかさせたら体が耐えきれないわよ」

「そうでありんすよ人間には魔術学校などに通うのに年齢制限がありんしょう?それは体がまだ耐えきれないという事なんでありんすよ」

「そうだったなえーとフーニャは今何歳なんだ?」

「えーとフーニャはねー6つだよ」

「6歳ということは少なくともあと2年は特訓できないな……」


 これは参った、今の間にティアや堕鬼を鍛えることは容易だがそれではフーニャの能力差が大きくなりすぎまたしばらく何もできなくなってしまう。

 まぁこんなこと考えてもどうしようもないのに予定を変更しティアと堕鬼の特訓を始めることにした。

 ティアはもともと俺と手合わせっをしていたため鍛えられるようなところはほとんどなかったが堕鬼はまだまだ鍛えがいがありそうだ。


「ほらほらどうした堕鬼お前の攻撃はただの一つも当たっていないぞ」

「嫌味を言わないでほしいでありんす少々スピードを上げさしてもらうでありんす!憑依かまいたち!」


 その言葉と共に堕鬼のスピードは格段に上がった。

憑依……まだそんな妖術を隠し持っていたとはなかなか面白そうな術だ。


「その技覚えたぞ!俺も使わせてもらおう、なになに使用範囲は自らが使役する者のみか。では憑依ダークエルフ!」


 その途端妙な感覚に襲われた、何かと合体するような何かが体内に入ってくるようなその感覚はすぐに薄くなりすぐ俺は動けるようになった。


「はっはー!これが憑依というものかいい感じじゃないか。ん?姿も多少変わるのかまぁいいか」

「さすがはトオル殿上級妖術の憑依さえも一瞬で会得してしまうとは驚きでありんす、では再び参るでありんす!」


 しかしその後も俺の圧勝でその手合わせは幕を閉じた。


「やはりトオル殿には敵わないでありんすな」

「いやそうでもないぞ、最後の方は俺も正直気を抜けなかった筋で言えばティア以上だな」

「そりゃあそうでっしょ堕天使とはいえ潜在能力は人間のちょっと上程度しかないんだから」

「そうでありんしたかではまた後日ティア殿とも手合わせ願うでありんす」

「今のあなたじゃ私には敵わないわよ?覚悟しておきなさい」

「お姉ちゃんたち~フーニャも混ぜてよ~」


 それはなんだか微笑ましい光景だった、以前は俺も同じような仲間を持っていたのだと思うと少し寂しくもなる。

 できることならこいつらも含めたパーティで冒険をしてみたかったと心からそう思った。


「……ル……オル……トオルってば!」


 その叫びで俺は目を覚ます、どうやら俺は眠っていたらしい。

 睡眠など必要ではなくなった体でもたまには寝たいのだろうか……


「あぁすまない、でどうした?」

「い、いや別になかなか起きなかったから心配してたわけじゃないんだから!あんた身体覚醒アウェイクンで寝なくてもいいはずなのに寝ちゃってるから不思議で……」


 ツンデレなのか心配症なのかはっきりしてほしいものだ、反応に困っちゃうじゃないか……


「特に問題ないと思う、ステータスにも問題は……ない身体覚醒アウェイクンもある大丈夫だ」

「ならよかった」

「トオル殿あまりティア殿を心配させてはだめでありんすよ?」

「ん?あぁ任せておけ」


 他愛もない話も終わり堕鬼に妖術についてより詳しく聞き俺はまた研究にふける。

 気づけば夜が明けていた、またティアたちを叩き起こし1日手合わせをするそんな日々がしばらく続いたある日ダンジョンに久々の侵入者が現れた。


「入ってきたみたいだな堕鬼は89階層ティアは99階層フーニャはここで俺と待機だいいか敵の力量がわからない以上皆気を抜くなよ!では健闘を祈る!」


 ティアと堕鬼が各階層に向かった後18階層に配置させていた悪魔から報告が入る。


「トオル様侵入者についてのご報告が、侵入者は5人のパーティの様で平均Lv40程度のものしかいない様です」

「そうか40階層辺りの魔物たちには警戒する様に伝えといてくれ」

「御意」


 平均Lv40程度のパーティであれば大丈夫だろうが一応40階層以降にも警戒する様に言っておくか。


「ダスト聞こえるか」

「トオル様なんでございましょう」

「貴様の50階層以外の40階層以降の守護者に念のため警戒する様に伝えておいてくれ」

「了解いたしました」


 これで万が一にも攻略されることはないだろう。

 今回は暇だったな、しかし以前の客の様なものにこられても困るしな……なかなか難しいな。


「トオル様至急お伝えしたいことが!」

「どうした?」

「敵が瞬く間に消え以前ティア様を討ち取ったパーティが突如現れました!」

「!?」


 侵入者が消えた、そういうことか恐らく奴らは適当なパーティを先に送り込みある程度まで来たらそのパーティと入れ替わる様な魔法を仕込んでおいたのだろう。

 俺の知らない魔法がまだあったことにも驚きだがあのパーティが懲りずにまたここに潜り込んできたのが一番の驚きだ。


「何て間抜けな奴らだ!またここに潜り込むとは俺たちのパーティで返り討ちにしてやる!」


To be continue

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