episode4「収集」
ティアを脇に抱えたその人間はどうやらパーティのリーダーらしく先陣を切って歩いてくる。
「よぉ、あんたがこのダンジョンの主人だな?さっさと終わらせたいんで早速行くぜ!」
その言葉と共にティアを放り投げパーティ全体が散開する。見たところ戦士、ヒーラー、タンク、弓使いという典型パーティらしい。
典型パーティは誰もが認知しているため崩し方も容易だ、しかしこのパーティには隙がなくとてもやりづらい。
「貴様らなかなかやるではないか、もっとこの私を楽しませてみろ!」
そのまま戦い続ける事半日、相手はだいぶ消耗している様だ。こんなものかともう終わらせようと転移魔法を展開したその時何かが俺の腹を貫いてえぐった。
「ぐっ⁉︎」
なかなか回復しない、という事は魔法の武器。振り返るとそこには弓使いの影から出てくる人がいた。
恐らく影魔法を使うソーサラーだろう。突然の攻撃に怯んだ俺は膝をつき俯いてしまった。
(ぬかった、パーティメンバーが4人だと勝手に思い込んでしまっていた。このままでは総攻撃を受けてしまう。)
俺はとっさに完全収納から銃を取り出し灯を狙うも弓使いによって阻まれてしまう。
だんだんと怒りがたまる。どの攻撃をしても見透かしたかの様に全て防がれてしまう。
「貴様らもあいつらと同じで俺をコケにしるというのか!クソ野郎共め…全員ぶち殺してやる!」
とうとう怒りが限界に達した俺は最上級魔法をぶっ放そうとするも侵入者のパーティはまずいと思ったのか影魔法を使ったソーサラーの転移魔法で何処かへ消えた。
敵が消え落ち着きを取り戻した俺は早々とティアの治療にあたる。俺のヒール魔法で数分もしないうちに彼女は目を覚ました。
目を覚ましたティアと共に侵入者の特徴などからどの国のパーティかを割り出す。
「この特徴からするにべポン王国ね」
「早速貴様の聞く気相手から喧嘩を売ってきたわけだ」
「私もう我慢できない、今から攻め落としましょう!」
「そうしたいのは山々だがあいにく先程のパーティ以外の戦力が分からない以上手も足も出せないのが今の現状だ。」
ティアもそれは十分理解しているらしく悔しそうな顔をしたまま俯いてしまった。
全ての情報をまとめ終えた俺は久々に魔王城に報告に来た。
「魔王様お久しぶりでございます。本日は報告があってまいりました。先日我がダンジョンにべポン王国の冒険者と思われる者たちが侵入してまいりました。そのパーティはこの魔王軍にとって大変な脅威になると思い報告させていただきました。」
「ふむ、そのパーティは捕らえられなかったのだな?貴様の前から逃げ切るとはなかなかの強者みたいだな、よし四天王全員集めるのだ。」
1時間もしないうちに四天王全員が集まった。
「皆のものよく集まってくれた。今回集まってもらったのはトオルの報告からするにべポン王国意外にも我々魔王軍に対抗すべく鍛え上げられたものが多く存在していることが予想される。その為四天王1人1人をリーダーとしたパーティを作りそれらに応戦してもらうつもりだ。この魔王城から好きな者を好きなだけ連れてゆくが良い。」
魔王の以上の一言で俺たちは広間を出る、他の四天王との情報交換を済ませ俺はティアを連れもう1度魔王城へ戻る。
「さて、これからパーティメンバー組むわけだがこの城から好きなものを連れて行っていいそうだ。お前のその神眼とやらで潜在能力が高いやつを見つけ出してくれ」
ティアは全くと言わんばかりの不服顔で当たりの魔物を見渡す。場所を変え隅々まで探す、中庭、塔、幹部たち以外の寝室がある部屋どこを探してもなかなかいない。
そんな時ふと下を見たティアが突然「いた!」と大声で興奮し始める。
「いたわよ凄まじいのが!それも私たちより潜在能力が高いわ!」
「ま、マジでか!この下だな?よし手を掴め、俺の透化魔法で地面すり抜けて行くぞ!」
俺も興奮してすぐに向かう、どんどん下がる下がる恐らくダンジョンより深く潜っている。すると小さな空洞に出る、その空洞には鎖で繋がれた幼い少女が吊るされていた。
「ティアまさかこいつか?」
まだ興奮が治らないのかティアは激しく首を上下に振る。
(どっからどう見てもこの娘は幼稚園児くらいだろ、大丈夫かこれ…)
とりあえずこの娘の鎖を外し連れ帰る、またこいつもティアと同じく封印されていたのだろう。
この娘はまだ目覚めそうにないので先にダンジョンに送りメンバー集めを再開する。しかし先ほどまで見つからなかったものは見つかるわけもなくその日はダンジョンへと戻る事になった。
To be continue
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