episode5「ドラゴン」

 夜が明けたため俺は次の稽古を受けるためベリアルのもとを訪ねていた。


 ベリアルも身体覚醒アウェイクンを持っているため寝なくても良い、そのため出歩いていることが多く探すのが大変だ。(お陰で探知スキルがこの間身についた)


 しかし今日は大概いつもいる場所には姿がない、しばらくして城内の魔物たちに教えてもらったある場所に着く。


 そこは今まで気にも留めていなかった闘技場だった、中に入ると確かにそこにはベリアルの姿があった。しかしその雰囲気は今までの飄々としたものとは違いとても威圧的なものだった。


 「やっと来たか、ではこれから最終調整を行うとしよう。貴様は混血も耐えサーペントとの戦闘も切り抜けてきた、そんなお前に足りぬものは戦略と魔法以外の戦闘スキルだ。」


 確かに俺はここまで運がよかったとしか言いようがない、しかし何故闘技場にいるのだろう、戦略も魔法同様に勉強するしかないと思う。


 「今からここに私が召喚する魔物を倒してもらうもちろん何を使ってもいい奴を出し抜けただそれだけだ。ついでに貴様の吸収プレデターで召喚魔法も完璧に習得しておけ。」


 「では行くぞ」その言葉と共に闘技場全体を覆う大きさの召喚陣が展開される、その召喚陣からゆっくりと姿を現したのはほとんどの者が恐怖するドラゴンだった。


 今まで人類がドラゴンを倒したという話はおとぎ話の中の話だけだった。


 今の俺は人の域を脱し上級の魔物と同等かそれ以外の強さがあるが、ドラゴンは恐らくベリアルたちのような最上級の魔物でもやっとというくらいだろう。


 またサーペントのような無茶な稽古だと思ったが始まった以上やるしかない、飛んでいるドラゴンめがけて数発の魔法を打つ。


 強化された魔法はドラゴンにも割と有効なようだがやはりドラゴンは武術の方が効果はあるらしい。俺も浮遊魔法を使い近接戦を挑む。


 武術を加えつつ魔法を適度に放つがなかなか体力が減らない、もう何時間もこうやって同じようなことを繰り返している。


 何か打開策はないかと辺りを見渡しふと思い出す(奴を出し抜け)確かにベリアルはそう言った、つまりは悪知恵を働かせろという事、悪意のある戦略を仕掛ける必要がある。


 攻撃を続けながら施行をめぐらす、全く思いつかないドラゴンともなるとある程度の戦略は見切られ思い道理にならなくなる。


 ドラゴンを出し抜くためには…そのまま何時間かして自分のスキルを思い出す、『想像生成クリエイトイマジン』煙幕で身を隠しその効果を確認する。


 使える、そう確信し俺は思い描いたものを実体化させる。できた昔国の開発部に見せてもらった電磁砲台レールガンだ、これに魔法を込めた砲弾を入れ雷魔法で飛ぶようにする。


 試してる時間はないため一か八か撃ってみる、弾が体に触れ破裂しドラゴンは後ろへとたじろぐ。効果はあるようだ、色々な魔法を込めた弾を間髪入れず次々に発射する。


 ようやくドラゴンは地に落ちる、そこに一気に畳みかけるように攻撃をする。遂にドラゴンは全く動かなくなった。


 今回はサーペント戦程苦戦しなかったな、などと考えているとベリアルが入ってくる。


 「今回は早かったな1週間で倒してしまうとはさすがの成長速度といったところか。」


 どうやら俺は意識していなかっただけで1週間戦闘を続けていたらしい。時間の感覚がないというのは少し不思議な感覚だ。


 自己再生パーフェクトヒールで傷は一瞬で癒えた、その俺を見てベリアルはさらっと最後の稽古を言い渡してきた。


 「最後の稽古はそこまでの力を手に入れたお前だからできるものだ、最後はこの私ベリアルを倒しお前のスキル吸収プレデターで取り込むのだ。」


 俺の思考が止まる、ベリアルを倒し取り込む?そんな無理ゲーを残された2か月ほどでやり遂げるなど無理に等しい。


 すぐに無理だと訴えたがベリアルは聞く耳を持たず何処かへ去ってしまう。俺は闘技場の中心で立ち尽くしたままでいた。


 何とか自室に戻り話を整理した、俺がベリアルを倒せるほど成長しているとは思えない。


 しかし稽古は稽古やるしかない、だから今回戦略を考える稽古をさせたのかと合致する。


 俺はベリアルに2日貰いその間でいろいろな武器や武術と魔法のコンビ技など様々なものを学んだ。


 そして2日が経ちまた闘技場の中央に俺は立っていた、敵うかわからない相手と戦うために。


 ベリアルが闘技場に入ってきた、今まで見せたこともないさっきを纏っている。ここで死ねば終わりこれまでもずっとそう思ってきた。


 今回もそうだここで負ければ終わるそんな緊張感を持って今最終稽古が始まる!

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