episode4「魔法」
魔法の知識や種類、そしてベリアルから教わったスキル無詠唱を習得した俺は問題ないと判断され今日から実戦に入ることになっていた。
相手は人間の天敵サーペントだ、今の俺はLv90ここに来てから20は上がったこれも混血になったこととスキルや魔法の入手が大きな要因だろう。
実戦の前にまずは魔法に慣れるための練習を行う。初めて魔法を使う興奮はとても抑えられたものではなかった、まずは無属性魔法からという話だったが俺は気になってきた火属性魔法を放った。
うまく放てたと思ったそれは手から2メートルほど離れたところで消えてしまう。どうやらこれは適正というより魔力の込め方の問題らしい、そのようなまだ俺に足りていない部分をこれから鍛えていくらしい。
「貴様の魔力量はもうわかった手始めにサーペントの子供を相手にしてもらおう、そいつが倒せれば次のステップへ行くとしようじゃないか。」
サーペントの子供といってもLv70はくだらないため侮れない、サーペントがいる洞窟に近づくにつれて自然と緊張が強くなる。
洞窟の周りにはおそらく餌用にさらわれてきたであろう人の骨が転がっていた。
「この中にサーペントがいる制限時間はそうだな半日だ、半日たって出てこなかったら様子を見に来てやる。前話したように素手や武器は禁止魔法攻撃だけで倒せ、では頑張りたまえ。」
そう言ってベリアルは姿を消した。洞窟に入ると鼻を刺すようなにおいが漂ってくる、入ってしばらく歩くと広がった場所に出た。
俺の対面ではサーペントが寝ていた、奇襲をかけるには絶好のタイミングだった。俺は近づきこの2ヶ月学んだすべてをぶつける気で魔法を放った。
しかし魔力が弱く大きなダメージは与えられなかった。奴は俺に気づき突っ込んできた、その攻撃は単純で分かりやすいものだった。
次々来る攻撃を見極めまた攻撃する、これをかれこれ8時間続けている。しかし相手には全く応えていないらしくこちらの体力と魔力が削られていく一方だった。
(疲れた、意識が飛びそうだ、これを後4時間は続けなければいけないのか)
体はもう限界だいつ倒れてもおかしくない、今は不眠と異常の勇敢のおかげだろう。勇敢はどのような状況でも屈しない精神が強い者に与えられるそのため何があろうとも病むこともない。
しかし体はそうはいかない、寝なくて良い体でも休憩は必要だスキルの性質ゆえのこの状況は考えうる限りで一番最悪だ。
今までの中で最も長い永遠とも思えた4時間が終わるそこで俺は気が緩み攻撃をまともに食らってしまった。
その一撃はとても重く全身に衝撃が伝わる、体が動かない、呼吸ができない、立たなったらやられることは分かっているしかし体は全く動かない。
気づくと俺は洞窟の入り口に寝ていた、俺はまたベリアルに助けられたのだ。
正直情けない元とはいえ冒険者だ悪魔に助けられてばかりだと当然落ち込む。
「明日もう一度戦ってもらう明日になれば奴の体力も回復しているだろうな、明日も全力で頑張ってくれたまへ」
魔王城に戻った俺はもう一度魔法について勉強しなおした魔法は奥が深いそうこうしているうちに夜が明ける。
今日こそは今日こそはと戦い続け1週間程度でサーペントの子供を倒し大人を相手にすることとなった。
この調子なら大人もすぐ攻略できると考えながら俺は大人サーペントと向かい合い戦闘を始めた。
そこで俺は本物との格の差を思い知らされた、子供に大ダメージとなっていた光魔法もあまり効いていないようだ。
あっさり負ける、部屋に戻り鏡を見た俺はこれまで以上にボロボロな自分の姿に悲しくなると共に悟った俺はあいつに遊ばれていたんだと。
悔しい、悔しい、悔しい。俺の頭にはいつしか憎悪でいっぱいになっていた。
そこからの俺はどんどん落ちていった、1日、2日どんどん時は過ぎていくそして1ヶ月が経った。
全く進展しない、もういっそ殺されてやろうかとも考えたがベリアルが助けやがる。そのうち俺には不名誉なスキル抵抗が身についていた、これのせいで俺は死ねない。
サーペントに殴打されながら俺は自分を呪った成長もせずずっと同じところで足踏みをしている、強くなりたいと願ったあの日から何も変わっていない。
俺の中でも何かが動いている、強くなるために足掻いている。その時だった俺腹に奴の渾身の一発が入る。
その瞬間俺の目の前が白くなる、するとなぜかステータスが浮かんでいるそのステータスのスキル欄は白紙に戻され何かが上書きされる。
『
聞いたこともないようなスキルが増えていた、よくわからないが自分の傷が消えていくのがわかる。
魔力があふれまるで自分の体じゃないようにも思えてくる、この魔力はアガレスにとても似ているがまるで違う言葉では言い表しにくいものだった。
今ならいける、そう確信した俺は目いっぱいの魔力を込め光魔法「スフィアーブラスト」を放った。サーペントは瞬く間に光に包まれ跡形もなく消え去った。
遂にやったのだ、サーペントを倒した嬉しさで脱力しその場に寝転ぶ。
自分の急激に増えた魔力の制御がうまくいかず吹き飛ばしてしまったため天井が崩れ落ちている、自分の魔力に驚きつつ空を仰ぐ。
そこにベリアルが現れる、奴はまた何か不敵な笑みを浮かべていた。
「よくやったといったところか、まさかこの洞窟を破壊してしまうとは思わなかった。これで魔法は問題なさそうだな、次からは最後の稽古を視野に入れ稽古するとしよう。」
ベリアルは部屋に帰ったらステータスを見るようにと言ってまたどこかに消えた。
部屋に戻り言われた通りステータスを見てみると、俺のステータスはおかしくなったのかと思うくらいの変貌を遂げていた。
魔力・俊敏・学習・精神・運がほぼカンストしていたレベルもLv400近かった。正直ゾッとする俺はこの稽古で1つの国を1人で滅ぼせるような力を持ってしまったのだ。
しかし後戻りはできない。ここまで来てしまったのだからいけるところまで行ってやる。そんなことを考えているうちに今日も夜が明ける。
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