episode3「無謀」
ベリアルが告げた俺の第2の稽古は「魔力強化~サーペントを打ち破れ~」という何とも拍子抜けな名だった。サーペントは物理でも魔法でも最低Lv100は必要だ。参考までに語ると魔王は推定Lv500であるといわれている。
しかしサーペントはヒューマンからしたら天敵以外の何物でもない今の俺は到底かなわない。
「俺では倒せないとわかっていて言っているのか?」
「あぁもちろんだあと1つ言っておくと貴様は魔法しか使ってはいけない。」
俺は耳を疑う。魔法が一切使えない俺が魔法だけで魔物とましてはサーペントと戦うなんて到底不可能だ。
しかしベリアルは不敵な笑みを浮かべ続ける。
「稽古内容としては今から2か月で魔法について私が教えてやろうそのあとは魔王城で飼っているサーペントで実践してもらう。では行こうか」
俺は首根っこをつままれ無理やりついて行かされた。そこは魔王城内部にある図書室だった、中には幹部らしきものたちが何名か何かを調べている。
「さてまずは魔法の属性について知ってもらおうか。この世には火・水・土・風・雷・光・闇の自身の属性によって変わる魔法と誰でも使える無属性魔法がある属性については練習の中でどれが一番合っているか見極めるとしよう。」
その後もベリアルの話は続く正直難しすぎてちんぷんかんぷんだったがメモを取りながらなんとかベリアルの話は終わった。
俺は自室で今日の内容を何度も復習したこんな日が最低2か月続くのかと思うかと気が遠くなる。そんなことを思いながら眠りにつく。
日に日に内容は難しくなっていき俺はもうパンク寸前だった。そんな俺を見かねてかベリアルはある提案をしてきた。
「相当答えているみたいだな、やはりもともとの潜在的な相性が悪いのか…しかし魔法が使えなければ話にならんな。」
そのままベリアルは頭を抱え静止してしまった、しばらくして何かを思いついたのかどこかへ走り去る。しばらくして戻ってきたベリアルはいろいろな道具を持っている。
「貴様は確かスキルは持ち合わせていなかったな?今から貴様にいくつかスキルを習得してもらおう。」
そう言ってベリアルはいくつかの本と機材を地面に置く、それらはえらく古びていてもう何年も使われていないことを物語っている。何をされるか知らないが正直不安だ。
「さてでは早速始めようこれに時間を使いたくないからまとめてやるぞ。」
始まった魔王城に来て2度目の儀式風の何かが。意識が遠のきかけていたその時ベリアルの前の機材が小さく何度も爆発していた、あぁまずいなんか前回とは違う感じだ…ベリアルの声がどんどん遠のく。
俺は見知らぬ場所に立っていた周りを見ても何もない、俺は恐怖を覚えた。頭によぎった言葉は「死」。
いや、そんなはずはない俺の前にはさっきまでベリアルがいたきっとどうにかして戻してくれると信じて待つことにした。
それから俺は待ち続けた、1日、2日、1週間まだかまだかと待ち続けたが何も起こらない。もう限界だと行動に出ようとしたときには何日たったのかも忘れてしまっていた。
ひたすら何もない空間を走る本当に何もない。不安・恐怖・絶望様々な感情がよぎるが結局何もない。走れなくなるまで走った。
そしてその時は突如訪れた。背後から覚えのある気配これはまたあいつだアガレスだ、その気配はまた怒りを帯びたものだった俺は恐る恐る振り返ると奴が口を開く。
「貴様何をやっておるのだこんなところで、この私しか入れぬ魔素庫にどうやって入った?」
「魔素庫?なんなのですかそれは?」
どうやらここは魔王の魔力が膨大すぎるがゆえに作られた魔力をとどめておく現実世界では認識できない空間らしい。
俺は奴に経緯を伝え何とか出してもらおうとするも奴はそれを拒んだ、第1俺は当初の目的を達成していない。スキルを手に入れるにはどうしたらいいか奴に聞いてみるも知らないの1点張りでらちが明かない。
「じゃあ取引というのはいかがですか?あなた様が教えて下さるのであれば私はあなた様の望みをできるだけ実行いたします。お教えいただけないのであれば私はベリアル様でも道ずれにこの世から消えるとしましょう。」
奴は声色を変え俺に飛びかかってくる。
「貴様調子に乗るな!貴様ほどのわっぱならこの世にごまんといるそのような者ごときが私に対して取引など今ここで消してやる事もできるのだぞ!」
奴の言っていることは何も間違ってなんかいない、むしろ正論だ俺ごときが何かを訴えたかって所詮小物だ。しかしここで諦めたらこの1ヶ月の努力が無になる。
この場を切り抜けるためにはどうすればいい、考えろ、考えろ、考えろ…
「魔王ともあろう御方が契約を破ろうというのですか。」
勝手に言葉が出ていた、もう後には戻れない話をつなげるしかなかった。
「あなたは半年待つとおっしゃられたしかしあなたは半年を待たずして私を消すということはその契約を破るということになる、それでもあなたは魔王か!」
言い切ったが魔王は明らかに怒っている、終わったと思っていた。しかし何も起こらない目を開けると奴はそこにはいなかった。
何が起こったかわからない俺の前に光があふれる。まぶしい、光が収まり目を開くとそこは元居た場所だった。目を開けた俺を見てベリアルは安堵の表情を浮かべる。
ベリアルによると失敗したかのように思われた儀式は成功していたらしい。あのアガレスはスキルを習得するための試練のようなものだったのだ。
しかしあの気配も空間の説明もすべてが偽物とは思いにくい、と思いつつも内心ほっとした。
ステータスを見てみるとスキルの欄にノーマルスキル学習力アップとレアスキルの恐怖耐性、空腹耐性、不眠そしてスペシャルスキルの勇気が記されていた。
「よし、しっかりと学習力アップを持ち帰ったな。その他にもこんなに持ち帰ってくるなんて儲けだ、これで効率よく魔法を習得できそうだな。」
魔法習得の期限の1か月半後に向け俺は勉強ばかりだったさすがに答えそうだったが習得したスキルのおかげで何とか乗り切った。そしてついに実戦に移る!
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