episode1「師弟誕生」
ベリアルの転移魔法で魔王城へは一瞬で着いた、魔王城は近くで見るとより大きく中は外見よりさらに広かった。俺が魔王城に気圧されていると間も無く魔王アガレスがいるであろう最深部へと着いた。
部屋に入った瞬間のこの息が詰まるような空気さすが魔王と言ったところだ、だがここからが本番だ連れてきてもらったが魔王に気絶されれば俺は目的も達成できず終わる。それだけは嫌だ何をしてでも魔王を説得する。
「アガレス様初めまして。勇者サブパーティリーダーのトオルと申します。この度はベリアル様に拾われ稽古をつけていただけることになりました。何卒よろしくお願いいたします。」
「ほぅベリアルが見込んだと?しかしお前に何か特別な力があるようには見えんな、貴様は私に何を捧げる?」
「私は特別な力などは持ち合わせてはいません。が一生忠誠を誓わせていただきたく思います。」
「そんなものはここにいる皆が持ち合わせている。そんな当たり前のこと以外だ、何もなければ今すぐ消えろ。」
アガレスはその言葉を放つと右手に魔法陣を纏わせ俺の方に向けてきた、あぁ駄目だった、俺はやはりここで終わりなのか。と諦めているとベリアルが俺を庇うようにして立ちはだかった。
「アガレス様どうかこの男生かしておいてはいただけないでしょうか?」
「ほぅ貴様がそこまでするのは珍しいな、その男に何かあるのか?」
「この男は強い憎しみと復讐心を持ち合わせています。これを磨けば四天王の1人にさえなり得るかもしれません。」
それを聞いた他の四天王は気に触ったのかベリアルに物凄い眼差しを向けていた。
「おいおいベリアルお前ちと俺たちを甘くみすぎちゃいないか?俺たちは勇者にすら負けねぇってのにその勇者のサブであるこいつに俺たちが倒せるとでも?」
「おやおやマモン気に障ったのであれば謝罪するよ、ただ1つ言えるのはこの男は勇者を倒すどころか君も倒してしまうようなポテンシャルを秘めているよ。」
それを聞きすかさずマモンが言い返す
「言ってくれんじゃねぇか何なら今ここで殺ってや…」
「マモン少しうるさいぞ、ベリアル半年やろう。そやつが半年後マモンに傷一つでもつけられたらその後もここにいることを許可してやろうではないか」
ベリアルはかしこまりましたと礼を言い俺を引っ張り部屋から連れ出した。
どうやら稽古が始まるらしい。どんなきつい稽古も乗り越えてみせると意気込んでいる最中ベリアルの口が開く。
「さてえーと名は確かあぁトオルと言ったな、よしトオルまずは貴様の今のLvを測ってやろう。庭に出ろ」
「よし、じゃあまず貴様にはこの私と鬼ごっこをしてもらう。」
鬼ごっこ?鬼ごっこってあの子供達がよくやるあの遊びのやつか?何故?稽古は?と疑問が思考を巡らす中それは突然始まった。
「貴様が鬼だ1時間以内に俺を捕らえられなければ今晩はこの庭で寝てもらう。もちろん毛布などの支給は一切なしだぞ、それでは始めだ!」
その場にはもうベリアルは居ない瞬間移動でもしたかのように消えていた。取り敢えず探すしかない。
俺は城中を駆け回った、がどこにも居ない少し休憩を挟もうと思ったその時だった、どこからか声がする。
「早くせねば1時間なんてあっという間だぞ」
声は聞こえるのだ、何かが空を切る音もしかし姿が見えない。テレパシーかとも思ったが明らかに耳に響いている。
そうこうしているう内に1時間が経過した。何もできなかったやはり俺はこんなものなのかとうなだれていた俺の前にはいつしかベリアルの姿があった。
「わかったか?これが今のお前の実力だ。ここから2週間だ、2週間で貴様は私を捕まえろでなければ半年などでは到底不可能だからな」
そう言い残しベリアルは去る。やるしかない、その言葉しか浮かばないやってやるんだこうして俺への試練第1「鬼ごっこ」が始まった。
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