勇者パーティ(仮)
加賀谷将隆
プロローグ
episode0「復讐者の種」
あぁまただあの方は勇者パーティしか見ていない、どうせ控えパーティの俺たちなんかには目もくれない。
いつだってそうだった俺たちは誰からも見向きもされず勇者パーティのおこぼれを貰うだけの言ってしまえば雑用みたいなものだ。
街にはギルドもあるが俺たちは勇者パーティの控えとして雇われているため契約期限が終わらないと新しいクエストを受けることもできない。
勇者パーティは日々魔王討伐のために魔王城攻略に向けて少しずつ周辺の森を攻略していた。と言っても勇者パーティは俺たちに任せっきりでおいしいところだけ持っていく。
そんな日々を文句も言わず支えてくれる俺のパーティメンバーには本当頭が上がらない。
そしてその日は唐突に現れた、その日は珍しく勇者パーティが先陣を切って戦いに出ていたそして森に一歩入った瞬間俺たちのパーティまでも巻き込むような魔法陣が展開された。
「トラップだ!」
誰かが叫んだが遅かった、悲鳴と共に目の前が光に包まれる、瞬時に空気が変わった。どこかに転移したらしい恐る恐る目を開けるとそこは以前に来た森の中間部にある迷宮の安地だった。俺は周りを見渡した。
「みんないるか!?」
「トオルか?こっちは大丈夫だ!」
タンクのシュミットの声はするが盗賊のクララとヒール魔法専門のアンナの返事がない。俺たちは周囲を確認して探索することに決めた。
辺りは以前来たときとは見違えるほど薄暗く嫌な空気に包まれていた。しかしモンスターは1匹もいない事が帰って不気味さを増しているそして記憶を頼りに何とか最深部に辿り着く。
そこにはクララでもアンナでも勇者パーティでもない誰かわからない人が武器も防具もせず立っていた。
明らかにおかしいこの迷宮にたどり着くにはLv.60はあるモンスターを倒さなければならないそれを庶民がたった1人で切り抜けて辿り着くなど万が一にもあり得ない。
「お前は誰だ?」
そう問いかけると奴はゆらりと振り向いた
「ほぅ勇者のパーティではなかったのか、いやすまん奴らの仲間だと思って殺ってしまった」
そう言って俺たちの前に奴が投げてきたのはクララとアンナの顔だった俺は頭が真っ白になったがシュミレットは違った俺が止める間もなく1人で突っ込んで行った。
が、ドスッという音の後に俺の横に顔が飛んできた一撃だった俺は恐怖から動けなくなってしまった。そんな俺を見て
「ふむ、やはり奴らじゃないと相手にならんな貴様はどうする?ここで死ぬかそれとも生きて戻り一生死んだように生きるか選ばしてやろう」
「街に戻っても生きている価値はない…俺を殺してくれ」
そう言って覚悟を決めると
「貴様なかなか良い憎しみを持っておるでは無いかそれもやつらに対する」
(心を読まれているらしいがそんな事はもうどうでもいい、結局俺たちのことが明るみに出ることは無かったな)
などと考えながら待っていると奴が問いかけてくる
「お前魔王側に興味はないか?貴様ほどの憎しみがあれば鍛え方次第ではいい線行くと思うのだが」
考えもしなかった提案に戸惑ったが何故か俺は答えが瞬時にでてきた
「鍛えてくれるのか、俺をあいつを倒せるほどまでに」
「ん?あぁ私が鍛えてやるのだからな奴を倒せるくらいまでは容易く行けるだろう」
俺はそいつに懇願し魔王城について行き鍛えてもらえることになった。
何でもこいつは魔王の四天王の1人堕天使ベリアルだったらしい、どうりで強いわけだ。
俺たちに目もくれなかったあの国に絶対復讐するため俺は鍛えることを誓ったのだ。
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