社会のゴミ

アスファルトのうえに散らばったガラスの破片が街路灯に照らされてキラキラと光っている。


「ふざけんなよ、俺たちは何もしてねーよ」


「お前たちじゃなかったら誰がこんなことしたっていうんだよ」


「だからさー、しらねーっていってるだろ」

と警官たちに取り押さえられながら、叫ぶ。


「誰もお前たちのこと信用する奴なんかいないだよ」


そんな言い合いを見ながら、野次馬たちは、社会のゴミどもが、と吐き捨てる。ある人は軽蔑した目でこちらを睨んでくる。この光景はもう見慣れてしまった。俺たちのこと何も知らない奴らが勝手に好きな事を好きなだけ言って、通り過ぎていく。どんな時でも俺たちは悪者だった。万引を見つけて止めようとすると、お前たちが脅したんだろと決めつけられる。母親には、お前が生まれてこなかったらあの人と結婚できたのにと言われる。そう。俺は生まれてきた時から悪者だ。でも俺は知っている。世の中には平気でもっと汚い事している大人がいることを。私はあなた達の味方よ、と言っておきながら何もしてくれない大人がいることを。そんな事を考えていた立花薫は警官にひと蹴り入れる。クリーンヒット!うめき声を上げた警官に他の警官が気を取られている間にあとの二人と一緒に走り出す。コーヒー屋さんの角を曲がり、潰れたカラオケボックスを少し通り過ぎたところに俺たちの溜まり場がある。


忘れ去られた場所。そこで俺たちはこのつまらない世の中から目を背ける。そこで、ひっそりと待っている。人の温かさを忘れたこの手を握りしめてくれる誰かを。今はただ息を潜めて待っている。俺を必要としてくれる誰かを。

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