第1話 セオ・グレスキーとネノセア・グレスキーの日常
俺の名はセオ・グレスキーだ。
今年に入ってから....つまり、つい昨日だった時に、俺は12歳になったんだ。
俺の生い立ちは.....姉ちゃん達から聞くと、物心がつく前の一歳だった頃の俺は川のすぐ傍にいて、毛布の中に包まれるのを発見してくれた父ちゃん達......つまり、姉ちゃんの両親が俺をそこで見つけて、そして俺の顔をよくよく見ていたら、テソラン人だって判明した。
「ねえ、あなた。この子って、外見的特徴からすればあっちの国の人間でしょうー?何故こんな何もないところに置き捨てられたのーー?親はどこにいるのかしら....。」
その場で偶然にも寝ている無力だった俺を発見してくれたのは、二人の男女だ。男の方は40歳後半っぽい見た目だったのに対して、女性の方は30代後半なのだった。つまり、俺の育ての両親となる者だ。あの時、もし父ちゃん達が俺を見つけてくれなかったら、きっと森の中の魔物に襲われるところだったから、本当に感謝してもしきれないほど父ちゃん達の助けが俺のとって、それほど命の恩人でもある。
「........たぶん、捨てられたんだと思う。」
「.....状況を見る限り、そういう結論に至るしかないかもね。........ねえ、あなた.....」
「わかった....。みんなまでいう必要はあるまい。この子、育てていくからな。」
「~~あなた~!そういうと思っていたわ!」
「では......なんと名づけるべきなんだー?」
「.........セオ.....というのはいかがー?うちのネノセアとお揃いな感じでいいかしらー?」
「....うむ。セオとセアで確かに姉弟感が強く聞こえるな。いいだろう。」
姉ちゃん達によると、父ちゃんの返事を聞いた母ちゃんはあまりの喜び、俺の身体を勢いよく籠から取り出してきて、そしてぎゅ~~っと、我が産んだ子であるかのように大事に、大切に抱きしめてくれていた。
あの当日に、二人はここの山奥の屋敷に着くと、俺を大事そうに抱えていた母ちゃんが家に入っていく、
「かあちゃん~~!とうちゃん~~~!もうかえおってきたんだねえ~~~!!はわああーー!!」
玄関まで満面の笑みで小走りに向かってきた姉ちゃんが目にするのは、母ちゃんの腕の中にいる俺だった。母ちゃんが先に家に入ってきたからだ。
「ああ、セア。ただいま。こっちの子はねえ~~~セアの弟になる子なのよー。」
「お.....おとう.....と....?」
その時、3歳だったネノ姉ちゃん.....つまり、ネノセア・グレスキーという子は不思議そうに腕の中にいる俺を見上げたまま、硬直したままで人指も動かせないほどショックだったのを姉ちゃんから聞かされた。
「はい~~~お手ー!」
「わあおーー!」
「次は.....左手よー!」
「あいいーー!」
その数日後、すぐに新しい家族に見慣れたらしくて、姉ちゃんは大事に俺と毎日、いつも一緒に遊んでくれた。
「はははーー!どう、セオーー!?ねえちゃんの「みずかけこうげき」は~~?すごいでしょーー!?うりゃあー!うりょおー!はは~~~なさけないなーー!」
「ふわあー!ねえちゃん、ずるいよー!へんなどうぶつがいるからふりむけっていったのに、なんでいきなりこうげきするんだよーー!?」
若い頃はトップクラスの魔物ハンターの両親に伴われて、河の傍に、俺たちはいつも水で遊んでいた。
「まって、ねえちゃんー!おれもかじつやこのみをさいしゅしたいー!ひとりでぬけがけしないでえーー!」
「あはははーー!さきにとったやつがちなのー!くやしかったら、ねえちゃんよりもっとおおくをみつけてきなさいなーー!うふふふ.......。」
俺たちがそれぞれ6歳や8歳だった頃、父ちゃん達と一緒に、木の実を採取したりする時もとっても楽しくて、姉ちゃんと遊ぶのは大好きだった。俺の肌色が姉ちゃんと違うからって、一度も意地悪な言葉をかけられたりとか、いじめられたりしたことはなかった。寧ろ、俺を十分に実の弟として可愛がり過ぎて、時々困っちゃうくらい。
それから、長年、幸せに一家族として暮らしてきた俺たち4人だったけれど、一年前のをきっかけに、俺たちの人生に変わり目となる.....「あの日」がやってきたのだった..........。
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