春に没す

私は結末を見透かしつつも無視をしていたのだ。ああ、きみは奇しくも苦しくも若くしてゆくのだ。

それはその人に美しいあり方である。世の皮肉である。あぁ梅の花に失う君は美しい。

悲しみも覚めるよなことだった。朗らかに、さも幸せかのように。

布団で横たわる君は、清々しい程花の似合うきれいな痩せ方をしていた。


    あぁ、この人は、

 貴方はきっと、いえ、永遠に美しいまま賞賛されるでしょう。恩賛も悲賛も、その身でひとつ受け入れるのでしょう。あぁひとくひろいことよ。

 私はひとつの花の有様をこの目に見写しましたようでした。それはひとつの花の一片でした。

 終わればあっけないものです。ひとく別人のことのようです美しいのがいけないのです、すべては目の前で終焉の幕を閉じるのかと。

       

 春の日はうららか。たまに夢をみます。春にも秋にも冬にも全くかかわらず。いえ冬によく見ます。

 貴方のおわりを見ていたいからでしょうか。あの日のあなたに会っている私はその幕の内で劇場と化すのをきれいに誇りに思っているのでしょうか ひどく、それはひどくに魅せられたものだ。


















――――――


ゆうめいなひとの最期を葬る瞬間は僅かな優越感があるのかと。

維新後くらいの夫人のイメージでした。ちょッとたどたどしい

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