第59話 準備完了!
一月十一日 二十時
今日は、【DIT】の女性メンバー全員と、藤崎さん、澤田さんが来ている。
引越し完了パーティだとか言ってた。
今日はダンジョン産のマグロに良く似た魚の肉を使った、マグロ尽くしパーティーだ。
色々な料理が並んでる。
俺が気に入ったのは中トロ部分を中身は半生でフライにしたトロカツだ。
タルタルソースと絡めて食べても、わさび醤油で食べてもメチャクチャ美味しい。
ネギマ鍋にお寿司、カルパッチョにソテー、中華風にカシューナッツと炒めた物や唐揚げもある。
どれも美味しい、火を通しすぎないのが共通したコツらしい。
まぁ俺は美味しけりゃ何でも良いんだけどね。
「今日は、魚料理だって聞いたから、それに良く会う日本酒用意してるぞ」
「今日も寒いから熱燗が嬉しいな」
「色々な料理を楽しみたい時には、焼酎のように口の中をすっきりしてくれる蒸留酒がいいけど、料理の味を高めてくれるのは醸造酒の良さだよな」
俺は女性陣達に聞いてみた。
「みんなはもう部屋の片付けは終わったのか? 住み心地はどうだい?」
「凄く快適ですよ、お風呂も広くて綺麗だしジャグジーまで付いてるから、本当に夢のような生活です」
「眺めも抜群で、ここって元々星が綺麗なところだなって思ってたんですけど、引っ越してから更に何も邪魔される事なく広がる星空に毎日感動してますよ」
女性陣達には好評の様で何よりだ。
「気に入ってくれたなら、建てた甲斐があったな。設計をしてくれた澤田さんに感謝しとけよ」
そんな話をしてると、坂内さんが話を振って来た。
「そういえば岩崎さん。一昨日博多で大活躍だったらしいですね? 森田君が岩崎さんに合わせろって、しつこく言って来てますよ」
「森田って誰だ?」
「名前も聞いてないんですか? あの時の隊長ですよ私の警察大学の同期の」
「そうなのか、まぁ通りがかってしまったから、成り行きだ」
「そう言えば森田君が言ってたけど、女性と二人で楽しそうに歩いてたって聞きましたよ?」
「おぅ、同窓会だったから同級生だ。二次会に向かう途中だった」
と、ちゃんと本当の事を話してるのに、女性陣が噛みついて来た。
「その流れで二人っきりって怪しいですよ? 岩崎さん」
「ブホッ、何故そんな事を怪しいとか、俺も男だからたまにはそう言う気分の時もある」
「そう言う気分の時は私を誘ってくださいよ、いつでも全然OKなのに」
「私たちは、みんなで話し合ってるんですけどね、岩崎さんを身近で見ちゃうと、他の男の人を好きになるって言う事が、無理に成ってくるんですよね。もし誰か他の人を選んでも、きっと心のどこかで妥協してる。それって相手の人に対して凄く失礼でしょ? だから、みんな纏めて面倒見てくれると嬉しいんだけどね」
「何処のハーレム王だよ、そんな展開絶対無理だぞ」
「毎日少しずつ洗脳していけば、段々普通に受け入れても良いかな? って思うようになりますよ」
「洗脳って言うワードが普通に出てくるのがオカシイダロ」
俺がやばいと思ってると、藤崎さんが話題を変えてくれてなんとか危機を脱出した? のかな??
「話は変わりますけど遠州大砂丘沿いの土地の整備終わったんですね、ありがとうございます」
「話の流れを変えてくれてありがとうな。まぁ取り敢えずは終わったな。あそこはどう使っていくんだ?」
「世界中の企業から問い合わせが殺到してますね。この場所に社屋を構えて研究施設を作る事が、世界中のトレンドになりますから、順次計画を取りまとめて契約を交わしていきますが、基本はすべて日本国が岩崎さんから一括で借り上げて、国の計画に基づいた形で各企業に賃貸する形にします」
「賃貸料だが、毎月全域で五十億ほどになるな、まぁ契約が決まった場所から順次になるから、すぐすぐは、その額にはならないが安定収入には間違いない」
「だからさぁ、俺に使いきれる額なんてとうに超えちまってるから、使い方も勝手に決めてくれよ。東雲さんに伝えておいて貰えばそれでいいから任せた。あーそう言えばURのバッグも五個ほど作ったから、これで開発工事は一気に進めれるだろ? 達也に預けるからいいように使ってくれ」
「50兆円か、流石にそんな金は出てこないから、世界中の開発して海外の資金引っ張らなきゃいけねぇな、とりあえず借りとくぞ」
◇◆◇◆
それから三か月が過ぎ、国内の発生済みダンジョンはすべて討伐を終え、残すのは海外発生のダンジョンだけの状態だ。
現在【D84】までの発生で、そのうち国内69海外15の発生である。
海外ダンジョンに関しては、【IDCO】に加入を拒み続けるロシア、北朝鮮とエルサレム以外は、各国の部隊を主戦力に足りない部分は【PU】が力を貸し、防衛都市の建設の進行具合とも合わせて討伐を行っている。
世界中に、復興の希望が見え始めている。
そして【DG】カードの登録者はまず国内では義務化され、海外からの登録者を合わせると、八億人を超えた。
D特区には毎日世界中から、探索者が訪れ、D特区内部人口は二千万人に達する勢いだ。
正式に遠州大砂丘から、渥美半島までの八十キロメートルに渡る土地全体がD特区へと変更された。
◇◆◇◆
三月三十一日 八時
今日は北海道の開発の予定だ。
世界中に送電をする超大規模発電設備をオホーツク海に面した土地に作り上げる。
毎時八千テラワットまでの発電が可能な設備を作る。
ほぼ世界中の電気需要は満たされるだろう。
これにより、化石燃料の価値はほぼ喪失し、世界の秩序も新時代へと突入していく。
そして、理の家にはもう何処から見ても二十代前半の素敵な女性にしか見えない、桜と萌のお母さんと沙耶香も居る。
中途半端なままだが、守れる物はすべて守るで開き直った。
沙耶香には私的な部分での秘書的な仕事を頼み、公的な部分での東雲さんとうまく連携を取っていろいろ手伝ってくれている。
女性陣が、色々言うので一緒に住む事だけは誰ともしないと決めたが、まぁみんな隣のマンションで暮らしてるしな。
沙耶香とは時々、博多の年間契約してるスイートにも出かけてる。
最近は、桜と萌も俺の事をパパと呼ぶし、正直微妙な気分だが、決して嫌な感じはしないからまぁいいや。
北海道の発電設備の開発が終われば、いよいよ別次元の世界へ再び旅立つ。
藤吉郎さん達は元気かな? こっちのうまい酒を大量に差入れてやろう。
向こうの世界へ一緒に旅立つメンバーは、本人たちの希望もあるがまず強さが求められる。
現時点で強さ的に
ランク2 島 颯太 LV840
ランク3 斉藤 達也 LV790
ランク4 東雲 あずさ LV788
ランク5 鹿内 雅子 LV780
ランク6 坂内 美穂 LV770
ランク7 マイケル・ギルバート LV765
ランク8 熊野 豪太 LV764
ランク9 森本 久恵 LV760
ランク10 斉藤 和也 LV759
ランク11 桑田 和之 LV759
ランク12 ハリー・スミス LV750
ランク13 アンリ・ゴダールLV749
ランク14 エッカルト・アッヘンバッハ LV746
ランク15 ルドラ・バクシ LV740
ランク16 三浦 尚之 LV740
以上のメンバーがベスト16までだ。
時間的にスタートの遅い海外勢が結構多いのが特筆される。
それぞれ、母国の威信をかけた存在だという自覚が違うのだろう。
達也と颯太は同時には連れて行かないことも決定した。
何かあった場合大泉総理も困るし、そこはしょうがない。
達也の弟、和也も良く頑張ってるな。
三浦は、西山中隊の中で唯一残った班長だ。
こいつもモチベーションが他の隊員とは一線を画している。
上田さんや相川さんは組織の長としての忙しさで、一線からは引いている。
このメンバーを引き連れ藤吉郎の世界へ乗り込み、ダンジョンの真実を求める事になる。
向こうにも慶次や、半兵衛さんがいるから戦力は大丈夫だろう。
◇◆◇◆
四月一日 九時
今日は【D85】の出現日。
ナビちゃんに事前確認して松江防衛都市の出現が確定している。
防衛都市では【DPD】が五万人体制で避難誘導を行い、安全確認までの一時避難も完了した。
そして十一時十一分。旧駅舎に設置されている転移門を飲み込む形で発生した。
すぐに突入して転移門を移動させる。
そこから三日をかけて八十四層まで到達する。
ピラミッドタイプの神殿が現れ鑑定をかけると、
『ミスリルスライムを討伐せよ』との表示。
百二十層のオリハルコンと似たようなもんだな。
こっちの方が若干柔らかいのかな? 俺は颯太たちがどう攻略をするのか見る事にした。
「恐らくこいつは攻撃してこない、ただし除かさないと階段が現れないぞ。任せるからやってみてくれ」
颯太たちが色々作戦を考える。
その間にマイケルたち外国人勢が武器攻撃を仕掛けるが、まったくダメージが入らないな。
鹿内さんが、氷系統の極大魔法を準備開始。
少し正解に近づいたかな? 東雲さんが剣神特技で腰ダメに威力をためている。
達也と颯太も、最も強力な攻撃を準備し始める。
鹿内さんのスキル【アブソリュート0】が発動した。
一気に体感温度が下がっている。
続いて坂内さんがミスリルスライムを覆い隠すように結界を張った。
そして残りのメンバーが一斉に必殺技を放った。
そして見事にミスリルスライムは砕け散った。
「お、久しぶりにLV上がったぞ」
それから最終層に降りボス装備の複製をして、討伐を終えた。
最後は俺が一撃で縦に真っ二つに切り裂いて倒した。
全員、地上に戻されていつもの声が聞こえる。
「【D85】ダンジョンが討伐されました報酬を、お受け取り下さい」
ナビちゃんに融合してもらって、帰路に着いた。
前から思いながらも取ってなかったスキルを、忘れないうちに取得しておこう。
【スキルリストオープン】
結構新しいのも増えてるな。
ぉ、これこれ!
【リミット解除】パッシブスキル
自分及びパーティメンバーの経験値取得と、ドロップ出現の制限が無くなる。
スキルレベル上昇で、取得経験値とドロップ出現率に上昇補正が掛かる。
これで一層のスライム倒してもドロップ出るはずだ。
早速、【D特区】に戻って藤崎さんを呼び、設置場所の指示をもらった後で、ダンジョンを設置した。
おお、ここからだったか! 東雲さんに頼んで真壁さんを呼んで貰った。
「環境設定の出来るステージが、【D85】からだったぞ。早速設定するから一緒に見て指示をくれ」
「これで夢がかないます、ありがとうございます。では早速」
と階層ごとに主要な穀物の育成環境を整えていき、穀物、野菜、果樹、牧畜、海洋とあらゆる生産が可能になる設定を行った。
これは農作物だけではなく、鉱物なども指定できるんだな。
資源問題も解決を迎え、いよいよ本格的に復興を遂げるな。
設定を四時間かけて行い、家に帰り着いたときには既に十九時を廻っていた。
真壁さんが「今日は私に岩崎さんの時間くださいね」と怪しげに微笑みかけてきた。
◇◆◇◆
四月三日 二十時
最近は、女性陣は、ほぼ全員が毎日一緒に夕食を取る。
それプラス達也と颯太に、特別用事がある【DIT】局員の男性スタッフって感じだ。
今日は、兵庫の明石からいい鯛が送られてきていた。
この時期の天然物の鯛は、本当に鮮やかなピンク色をしている。
随分モンスターからの被害も減ってきたために、漁に出る人も増えていた。
庭に植えてある桜の木を眺めながら、鯛尽くしの豪勢な夕食になった。
縁側に向かって窓を開け放つと、まだ若干肌寒い風が桜の花びらと共に舞い込んでくる。
鯛シャブに、アラ炊きや木の芽寿司、塩焼き、皮霜造りのお刺身などの料理を楽しむ。
そして颯太が用意して来た酒も楽しむ。
「今日は白身の魚だからこれを用意したぞ。兵庫県丹波の酒だ明石にも近いからきっと相性はいいぞ」
「あーうめぇな、他に言葉は要らないぞ」
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