第36話 安土桃山時代?

 俺は【D120】を無事に討伐する事に成功した。


 そして久しぶりに脳裏に響く声


『【D120】怠惰のダンジョンの討伐を確認しました。報酬をお受け取り下さい』



『ぉ、名前つきのダンジョンだったんだ。苦労した甲斐があったぜ、【D120】コア居るかい?』

『ここにおりますご主人様。よろしくお頼み申し上げます』


 なんか渋い感じの執事っぽい雰囲気だな。


『よろしくね、ネームドダンジョンって事は報酬はいくつなのかな?』

『三つでございます。ご主人様』


 ってことはオリハルコンスライムのスキルオーブとあわせると、四つ取れるのか。

 さすがにこれなら、元に戻る手段も作れるよな?


『【D120】コア、ここはどんな世界なの?』


 ってか呼びにくいな。

 舌噛みそう、怠惰のダンジョンだったな。7つの大罪系かぁ…… 怠惰はベルフェゴールだったよな。

 

『ベル』でいいか。


『【D120】コア今からベルって呼ぶね』

『お名前を下さりありがとうございます。このベル、ご主人様に忠誠を奉げさせて頂きます。この世界でございますね。ご主人様がいらっしゃった世界とは、別の時間軸で成り立つ世界でございます。科学が進む事なく戦乱に明け暮れる世界です』


『ダンジョンは討伐出来ているの?』

『この世界では、この日本の地より大陸で文明が進んでおり、ダンジョンも殆どが大陸に出現しております。全てのダンジョンが出現しておりますが、討伐された物はご主人様が討伐されたD120だけでございます。現在ダンジョンは融合を始めております』


『それってどういう事なの?』

『他のダンジョンを吸収し、力を持ったコアが新しい世界へ次元を渡る力を得ます』


『ていう事は、俺が次元を渡る方法ってもしかしたら、それと同じ条件なの?』

『現在次元を渡れる者がスキルの創造を行うか、魔導具を作り上げない限りは、ご自身で次元を渡れる条件を満たす必要がございます』


『って事は今獲得できるスキルや、今俺が作れる魔導具では戻る事はできないんだね?』

『その通りでございます』


『うはぁ時間掛かりそうな条件来たなぁ』


 ◇◆◇◆ 


『新たなる世界の【D1】コアよ、お前がご主人様に真実を伝えない事には意味があるのか?』

『理様は必ずこの輪廻を終焉に導く者となります』


『輪廻の終焉にはお前と、ご主人様の融合体で、【D155】コアと共に消滅するのだぞ』

『存じ上げております。融合する為に理様が人としての死を迎えねばならぬ事も。他のコアでは融合を果たしても【D155】コアの消滅には力が及ばぬ事も』


『思うが侭に行動せよ。我の力を与える』


 ◇◆◇◆ 


『ベルもう一ついいかな?』

『ベル様は、私と融合を果たし消滅されました。知識、権限は全て引き継いでおります』


『えええええええええええええええええええええええ、何でそうなったの?』

『ベル様の意思でございます。次元を渡るためには千百十一レベルの融合が必要です。現在百二十一レベルです』


『私も融合した方がいいかな?』

『【D2】コアさんは、最後にどうしても後二レベル欲しいってなった場合はお願いします』


『まずそんな状況ありえないよね……』


 ◇◆◇◆ 


 やっと抜け出した先には、日本の大きなお城が存在していた。

 しかし見事に廃墟だよな。

 見渡す限り人影も無く、お城以外の建物は完全に崩壊している。


 道も舗装されてないし、電線なども見えない、少なくとも現代日本じゃないよな。

 いつの時代なんだろ。


『ナビちゃん。ちょっといいかな』

『いかがなさいましたか? 理様』


『ここってどれくらいの文明レベルなんだろ?』

『理様の居た時代の歴史から見れば、江戸時代より前、安土桃山時代と言われた当事の文化に酷似しております』


 そっか…… 


 取り敢えずこの世界の人たちと関わりを持つとめんどくさい事になりそうだから、目立たない所に移動しなきゃなと思っていると、モンスターが徘徊しているのが見えた。


 あーそっか、今まで【D120】があった場所だし、当然とっくにスタンピード起こってるよね。

 だとしたらこのお城の中って誰も居ないのかな?


 門も壊れてるし、入ってみるかと思い、念のためにプルートを手にして、壊れた門から城内に入ると数匹のモンスターが確認できる。


(取り敢えず倒すか)


 一応鑑定をしてみる。

 どれもレベル二十以下だな。

 二層のモンスターか。


「TBちょっとモンスター倒してきて」

『はいにゃ』


 この辺りのモンスターの殲滅をTBに頼み、雪と二人で辺りを見回す。

 気配察知に引っかかるのもモンスターばかりだ。


 人は居ないと見て間違いないかな。

 それならここにを取り敢えずの拠点にするか、門とか直しとこう。

 【土木練成】を使って修理していく。


 元々あったものが壊れてるだけだし、素材は周りに散らばってるから問題なく直せる。


 TBが周りのモンスターを一通り片付けて戻ってきた。


「終わったにゃ」

「TBありがとうね」


 そのまま三人でお城の中にはいって行く。

 お城の中って暗いんだねぇ。


 階段は急だしこれじゃ高齢者には優しくないよな? と考えながら上っていく。


(お城は攻められた時に敵を殲滅しやすいように、元々登り難く作ってあるのが普通であり、観光名所的な登りやすいお城には意味がない)


 三階まで登ると大広間のような場所があり、畳が敷き詰めてある。

 ここで少し休憩するか。

 土木練成と生活魔法の洗浄で、新築同様のきれいな部屋にして寝転がった。


 畳の上に寝転がるなんて久しぶりだよなー。

 やっぱり俺日本人だ。

 落ち着く。


 

 この世界のダンジョン討伐してコアレベル千百十一の達成しなきゃならないって事は、まずダンジョン探しか。


 ダンジョンを見つける為に必要な事は、まずマップだよな。

 次はマップに応じて方向を指し示すコンパスか、そして移動手段。


 海上移動と陸上移動があるよな。

 空を飛べるならいいんだけどな。


 よし。


【スキルリストオープン】


【マップ】使用時滞在中の世界の地図、目的地を表示する。

 ダンジョン内でも使用可能。

 スキルLV上昇でより詳細な表示が可能になる。

 まずはこれだな。


 取得


 ◇◆◇◆ 


コンパスかこれは魔導具で創造できそうだな。


【魔導具創造】


嚮導の羅針盤:使用者が思い描く物を指し示す。

素材:サイクロプスの瞳、魔核ポイント五万


SR 50%

ロスト50%


よし、作成

……失敗

……失敗……失敗……成功……


 ひでぇ二十万ポイントも使っちまったぞ……


 レベル8まで上がってるのに手強いな魔導具創造は……


 ◇◆◇◆ 


 移動手段か、この世界じゃ満足に舗装した道とかないから、俺の車で走る訳には行かないしな。

 目立つのは嫌だし飛行船とかだと、目立ちすぎるよな。


 スキルで使えそうなものを探す。


【重力制御】重力を思いのままの方向へ発生させる。

 スキルLV上昇で加重が増加する。


  これ使えそうだな。

  よし取得。


 ◇◆◇◆ 


 一応船を作っとこうかな。


 ちょっと豪華な二十人乗りくらいのクルーザーで耐衝撃性に優れた物をイメージする。


【魔導具創造】


魔導クルーザー:魔核エネルギーで航行する船

素材:半魚人のうろこ二十枚 オリハルコン十キログラム ミスリル鋼十キログラム 魔核ポイント三万ポイント


R   60%

ロスト 40%


 作成……失敗 ……成功


 今日は確率低いなぁ。

 でも、中々格好いいな。

 ちゃんと陸地でも倒れない様に脚が付属してるとこが、芸が細かいぜ。


 クルーザー目立たせない方法は


 あースキルであったな。


【スキルリストオープン】


【透明化】自分及び指定対象物を透明化出来る。


 スキルLV上昇で効果範囲の拡大

 よしこれで準備は整ったぞ。

 まずはマップ表示。


 『ダンジョンを示せ』


 世界地図は俺の居た世界と変わりないな。

 現在地が琵琶湖あたりか。

 日本には他に一箇所だけだ。

 意外と近いな…… 京都だなこれは。


 早速向かうか。

 折角だから今取得した能力を、全部試そう。


 まず船を出して乗り込む。

 陸上でもバランスが取れるようにフロート型の足が着いてる。


 次は透明化、ちゃんと自分たちは視認できるな。


 よし


 次は重力操作。上に向け重力をゆっくり操作する。


 十メートルほど浮かび上がらせ、嚮導の羅針盤で国内のダンジョンを選択して指し示させる。


 そして羅針盤の示した方向へ真っ直ぐに重力移動させる。

 うは、快適だ。現状では余りスピードは出ないな。


 速度調整や舵を視覚認識して、できるような装置をつけた方がいいな。

 飛行機の操縦桿みたいな感じのほうがいいか、高さ調整もあるしな。


 一度着陸して、再び先程思いついた機能を追加した、船体へと魔導クルーザーを改造した。


 これで重力制御を、操縦かんで簡単に行える。

 飛空船だな!


 そこから、三十分ほどで京都ダンジョンに到着した。


「さぁお前は何番目だ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る