答え


「お兄ちゃーーん!」

「おかえり。随分遅かったけど、ちゃんとアイスは買えた?」

 コンビニに一人でアイスを買いに行った少女を少年は出迎えた。

「うん。アイスは買えたよ。でも傘がなくなった!」

「えっ? でもお前濡れてないじゃん」

「うん。私の黒い傘がなくなってたから、違う黒い傘を持って帰ってきた」

「えー! 人の傘を盗んできたのかよ」

「違うよ。私のがなくなってたから、似てる傘を持ってきたの」

「だから人のを持ってきたんだろ?」

「え? ほら似てたから、間違えて私のを持ってっちゃったかもだから、だから私も似てたのを持ってきたの。おあいこだよ」

「そうとは限らないじゃん。お前の傘が誰かに盗まれて、お前も誰かの傘を盗んできたのかもしれないじゃん。お前が取られたからって、お前が取っていい理由にはならないよ」

「えー。私、逮捕されちゃう?」

「そうならないように、その傘持ってコンビニに謝りに行こう。アイスは冷蔵庫入れて、俺も一緒に謝ってやるから」

「うん。ごめんなさい」

 泣きそうな顔でうなだれる少女は、差し出された少年の手をギュッと力を込めて握った。

「ほら、行くぞ」

「うん……」


☆ ☆ ☆


 第四問の答えはお店の前の傘立てから盗まれた傘です。

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とある何かの物語 鈴木りんご @ringoo_10

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